内容説明
日本は没落の危機を克服できるか?古代ローマ、明朝中国、スペイン、オスマン帝国、大英帝国、ユーロ圏、そして日本、米国まで。最新の経済学をもとに、経済的不均衡が文明を崩壊させることを解き明かす。ポール・ケネディ『大国の興亡』を超える「大国の経済学」!
目次
大国の経済学
経済的行動と制度
ローマ帝国の没落
中国の宝
スペインの落日
奴隷による支配―オスマン帝国のパラドックス
日本の夜明け
大英帝国の消滅
ヨーロッパ―統一と多様性
カリフォルニア・ドリーム
米国に必要な長期的視野
米国を改善する
著者等紹介
ハバード,グレン[ハバード,グレン] [Hubbard,Glenn]
コロンビア大学大学院ビジネススクール校長。米国大統領経済諮問委員会委員長、米国財務省副次官補(1991~93年)を歴任
ケイン,ティム[ケイン,ティム] [Kane,Tim]
ハドソン研究所チーフエコノミスト。米国連邦議会上下両院合同経済委員会委員を2回務め、情報将校として米国空軍に在籍(1990~95年)
久保恵美子[クボエミコ]
翻訳家。東京大学経済学部卒業。ノンフィクション翻訳をおもに手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
49
世界の歴史本と軽く考えて読み進めた。そしたら国家の終わりを教示する世界経済の話ではないか。頭が読み進めるのを躊躇させたが、ローマ帝国やオスマン帝国のように長く続いた国ほど、自国の終焉という現実を認識できていなかった。ただ現代の大国に当てはめたらどうだろうか? 党派主義に傾く要素が政治に強い気がする。憲法の原則に立ち戻って、政治を正すことに賢明になることに期待する。私は一般市民です。2020/01/14
壱萬弐仟縁
30
2013年初出。歴史は人間のドラマをはるかに超えるものになり、後世から見れば不合理に思える政策選択が驚くほど周期的に繰り返されてきたことがわかる(8頁)。GDPという概念自体はアダム・スミスの時代には知られていなかった(34頁)。歴史は、経済的な繁栄と恐慌という潮の満ち引きのような現象の連続(37頁)。アイデンティティーは、直感に反する経済的行動が数多く見られることを説明する一助になる(90頁)。制度は経済的行動を体系化する制約である(103頁)。2014/12/31
Kiyoshi Utsugi
21
以前に読んだことのあるアセモグルとロビンソンの「国家はなぜ衰退するのか」が、ちょうどこの本の一年前に米国で出版されてますが、どちらも経済学者の視点から国家(しかも大国)の衰退について論じているのが、ちょっと面白かったです。 こちらの方がケーススタディとして日本が取り上げられている分、個人的にはこちらの方が面白かったですね。 最後、米国は結局衰退するのかどうなのか、興味がもたれるところですが、「米国は今でも昇りゆく太陽なのだ」としているところは、日本人の自分からすると???となりました。(笑)2020/07/04
GASHOW
9
ドラゴン桜で、国の寿命は200年と言っていた。日本は2000年続く天皇(細かいことは気にしないで)がいるが、徳川幕府が300年続いたくらいで、他は短い。中国も王朝も長くは続かない。制度ができて運用されて、技術がすすみ陳腐化してゆく。価値観も変われば、環境もかわる。大国は成長に成功した結果なので、順調なサイズに必要な資源に危機が発生すれば、不足となる。また、成長を続けるにはより資源が必要になり戦争が必要になる。崩壊するまで成長を維持している。これはアメーバの成長とよく似ている。ライフサイクルがあるようだ。2020/06/02
CCC
9
こういうの読むたびに富というのが何なのか考えさせられます。まあ便利な指標なのは分かるけれど、GDPGDPとそればかり言われても、他の基準とすり合わせない限り、富を評価出来ているのか疑問が浮かぶ。平均的な一般庶民の暮らしぶりはどうなのか。いくらGDPが高いとしても、一部の富んだ人が益を受けているだけなら全く羨ましくはない。まあ本書のテーマは大国であって、国として主導権を握れるか否か、発展するか衰退するかが本題なのだと言われると、あ、そうですかと引き下がるしかないけれどなんだかな~。2015/01/30