出版社内容情報
本書は, 金融工学を学んでみたいという初学者を対象に書かれています. 主な読者として,経済学を専攻する学部生、金融に興味のある理科系学部生・大学院生等を想定しています.
本書を執筆している間にも, 金融工学に関する多数の書籍が書店の店頭に並び, デリバティブに対する関心の非常な高まりを感じました. 一方で, これらの著書の多くがその冒頭で「難解な数学は省略する・・・」と記しています.
本書では「計算する」ことに重点を置き, 計算する楽しみ・計算による理解の促進を執筆テーマの柱としました. その計算を行うための道具が数式処理ソフトウェアであり, その中で最も普及して使い勝手の良いMathematicaを使用しています.
著者の経験の浅さおよび時間的な制約により, デリバティブのリスク分析, 最新のデリバティブ動向など,より高いレベルの内容にまで踏み込めませんでした. また, 適切でない表現も多くあるものと思われます. 読者賢者には,それらの点についてぜひご指摘いただければ幸いです.
さて, 本書の執筆にあたり, 業務時間外の執筆のため予想以上に出版が遅れ, 東京電機大学出版局の植村八潮・菊地雅之両氏にはなにかとご面倒をおかけしました. 心より感謝申し上げます.
また, さくら銀行山田誠金融市場部長, 定本禎弘商品開発第二グループ長には, さくら銀行でデリバティブ業務に携わる幸運を与えて頂き本書を執筆する途を開いてくださいました. さらに, 著者の非才を補うべくご助言・ご指導くださったさくら銀行関係各部の皆様, ホームページの掲載を快諾してくださった各社の皆様, 数式処理を学ぶ機会を与えてくださった大学の恩師, 特に通貨オプションについて有用なアドバイスをくださったさくら銀行市場営業部入山元英調査役, 校正に多大な労をとってくれた市村浩隆氏に対し厚く謝意を申し上げます.
2000年8月
さくら銀行金融市場部
椎原 浩輔
第1章 Mathematicaの使い方
1.1 数の演算・グラフの表示
1.2 数式の処理
1.3 リスト
1.4 プログラミング
1.5 確率分布
第2章 金融工学の基礎
2.1 金融工学とは
2.2 単利計算
2.3 複利計算
2.4 連続複利計算
2.5 現在価値・将来価値
2.6 内部収益率
第3章 スワップ取引
3.1 スワップ取引とは
3.2 フォワード・レート
3.3 スワップのプライシング
第4章 イールドカーブを作ろう
4.1 金利データの入手方法
4.2 ディスカウントファクターの算出
4.3 ゼロカーブ,フォワードカーブの作成
第5章 オプション取引・基礎編
5.1 オプション取引とは
5.2 リスク中立確率
5.3 Cox-Ross-Rubinsteinモデル
5.4 CRRモデルの拡張
第6章 オプション取引・応用編
6.1 ブラウン運動
6.2 伊藤の公式とギルサノフ定理
6.3 プレーンバニラオプション
6.4 通貨オプション
6.5 デジタルオプション
6.6 オプションの利用法-外貨預金への組み込み-
付録A カレンダー
付録B CD-ROMの使い方
問題の解答
参考文献
さくいん
内容説明
本書は、金融工学を学んでみたいという初学者を対象に書かれています。主な読者として、経済学を専攻する学部生、金融に興味のある理科系学部生・大学院生等を想定しています。
目次
第1章 Mathematicaの使い方
第2章 金融工学の基礎―金利計算
第3章 スワップ取引
第4章 イールドカーブを作ろう
第5章 オプション取引・基礎編
第6章 オプション取引・応用編
著者等紹介
椎原浩輔[シイハラコウスケ]
1998年筑波大学大学院博士課程数学研究科修了。博士(数学)。さくら銀行勤務
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。