インターネットの知的情報技術<br> eビジネスの理論と応用

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インターネットの知的情報技術
eビジネスの理論と応用

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  • サイズ A5判/ページ数 138p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784501535407
  • NDC分類 336.17
  • Cコード C3004

出版社内容情報

 インターネットがこれほどまでの成功を収めたのは,それがビジネスと直接結びつくことができたからであろう.IBMが"International Business Machines"の略称であるように,コンピュータ産業の発展はビジネスの世界とともにあるといってよい.
 従来のビジネス向けコンピュータは,データベース管理システムを中核として,生産管理,在庫管理,顧客管理,財務管理など,従来は人間が行っていたデータ管理や計算作業をコンピュータで置き換えることをその主な目的としていた.これは,企業内の事務の合理化と経費節減に絶大な威力を発揮した.
 これに対してインターネットは,企業内におけるコンピュータ利用の目的を大きく広げることになる.すなわち強力なコミュニケーションメディアであるインターネットは,コンピュータを企業内での利用から企業対企業(BtoB),あるいは企業対顧客(BtoC)の取引を電子的に実現する電子商取引へと発展させた.このことは,従来の商取引のあり方を量と速度と規模の面で革新的に変化させたといえるであろう.
 それでは,BtoC電子商取引の代表例ともいえるAmazon.comを例にとろう.Amazon.comは1995年の創業以来,書籍やCDをはじめとするオンラインショッピングサイトとして急速な成長を遂げてきた.第1の特徴は,その量である.書籍に限っても,約170万タイトルの購入が可能である.たしかに最近では在庫150万冊をアピールするような大規模書店も現れてはいるが,その陳列のためには何千坪もの売り場面積をもつ店舗が必要になる.したがって,そのような書店が存在するのは多くの人口を有する大都会に限られている.一方,オンラインショッピングは,Webサーバを介して商品カタログをインターネット上に公開するだけであり,物理的な制約を受けないという利点がある.第2の特徴は,その取引の速度である.顧客は書店まで足を伸ばす必要がなく,自宅のパソコン上で電子カタログをクリックするだけで本の注文を即時に行うことができる.もちろん書籍の場合は,本が自宅に送られてくるためには宅配便等の物理的輸送手段を用いるために時間がかかるという欠点があるが,電子出版物やソフトウェアなどインターネットを介した配送が可能な商品に関しては瞬時にして入手することが可能である.第3の特徴はその取引の規模である.Amazon.comの顧客は200ヵ国国,2000万人に及んでいる.これは地球規模のネットワークであるインターネットならでは利点といえる.
 さて,このような電子商取引がさらなる発展を遂げて行くうえで,人工知能や取引を仲介するエージェントなどの知的情報処理技術の応用が期待されている.一般に電子商取引は,"商品検索,取引,決済"の3ステップから成り立っているとみなすことができる.商品検索の段階では,顧客側からは必要としている商品を効率よく発見する情報検索の技術が,逆に企業側からは顧客に対して効果的に商品を広告したり推薦したり技術が重要になるであろう.また取引の段階では,マルチエージェントシステムの研究領域において研究されている交渉の技術が重要になるであろう.特に近年では,その一形態として電子オークションの技術が注目されている.さらに決済の段階では,電子マネーや少額決済を可能にするマイクロペイメントなどの技術が必要になる.
 本書「eビジネスの情報技術」では,このような背景から「インターネットの知的情報技術シリーズ」の応用編として,わが国における知識処理の第一線の研究者により,インターネット時代に有望な知的情報処理技術の応用領域について述べたものである.本書は一般のビジネスマンや文系の大学生などのインターネット初学者にもできるだけ直観的に理解できるように,具体的な方法を豊富な応用例をもとにしてわかりやすく書くように心がけたつもりである.よって,読者はインターネットに関するごく基本的な知識さえあれば,本書を読むことにより,現在における本質的な課題,それに対する人工知能をはじめとする知的処理の取り組み,そして,今後インターネットが進んでいく方向を把握することができるだろう.
 菅坂玉美(富士通研究所)による第1章「電子商取引とエージェント」では電子商取引において,売り手や買い手,仲介者を支援するエージェント技術について解説している.特に富士通研究所において開発された知的エージェント環境「SAGE」の企業間電子商取引への応用について述べている.
 横尾真(NTTコミュニケーション科学研究所)による第2章「インターネットオークション」は,近年,電子商取引の一形態として注目されているインターネットオークション技術について述べている.特にこれまで経済学の分野で研究されてきたオークションの理論をベースに,インターネットオークション方式の設計における頑健性の問題について解説を行っている.
 寺野隆雄(筑波大学)による第3章「情報推薦システム」は,顧客に対して適切な商品を推薦する情報推薦システムについて述べている.特に情報推薦システムの電子商取引における重要性を述べ,著者らが開発したシステム「TwinFinder」を含め,基本的な技術と具体的な実現方法について解説している.
 山口高平(静岡大学)による第4章「ビジネスアイディアの情報化技術」は,商品流通を中心とした狭義の電子商取引だけでなく,顧客管理,会計,マネジメント,物流,マーケティング,ファイナンス,契約などの企業活動全体を支える情報技術について議論している.この中で,特に企業内での知識共有のために必要なオントロジ技術の重要性と実例について解説している.

 さて,本シリーズは関西文化学術研究都市けいはんなプラザにおける学術交流の一環として行われた知的情報統合研究会の活動を通して生まれたものである.この研究会を積極的に支援していただいた株式会社けいはんなの皆様にこの場を借りてお礼申し上げる.最後に,本書において,図や表の引用に快く応じて頂いた多くの研究者の方々にもお礼を申し上げる.

2002年11月
北村泰彦
山田誠二

第1章 電子商取引とエージェント

1.1 電子商取引の状況
 1.1.1 急速に普及している電子商取引
 1.1.2 形態別に見た電子商取引
 1.1.3 エージェント技術の必要性
1.2 知的エージェント環境
 1.2.1 要素技術
 1.2.2 企業間ECへの適用
 1.2.3 実システム適用への考察
1.3 まとめ
参考文献

第2章 インターネットオークション
2.1 はじめに
2.2 オークションの例:長距離電話
2.3 準備
2.4 オークションのプロトコル
 2.4.1 単一種類,単一ユニットのオークション
 2.4.2 単一種類,複数ユニットのオークション
 2.4.3 複数財のオークション
2.5 プロトコルの性質
 2.5.1単一種類,単一ユニットのオークション
 2.5.2 複数財のオークション
 2.5.3 共通価値
 2.5.4 談合/主催者の嘘
2.6 架空名義入札
 2.6.1 架空名義入札の影響
 2.6.2 架空名義入札に頑健なプロトコル
2.7 応用事例
2.8 まとめ
参考文献

第3章 情報推薦システム
3.1 eコマースの特性と情報推薦システムの役割
 3.1.1 eコマースにおける商店と消費者
 3.1.2 消費者行動からの推薦情報生成
3.2 情報推薦システムはどう使われるか
3.3 情報推薦システムの実現方式
 3.3.1 情報推薦システムの実現方式の主要な方式
 3.3.2 情報推薦システムのサーベイ
3.4 協調フィルタリングによる推薦生成
3.5 コンテンツ分析による推薦
3.6 推薦システムの適用例:意外性の高い情報を提供するTwinFinder
 3.6.1 TwinFinderの位置付け
 3.6.2 TwinFinderのリコメンド情報生成手順
 3.6.3 顧客プロファイルの作成
 3.6.4 順マッチング型リコメンデーション
 3.6.5 交差型リコメンデーション
3.7 まとめ
参考文献

第4章 ビジネスアイデアの情報化技術
4.1 エンタープライズマーケット
4.2 エンタープライズオントロジ
 4.2.1 エンタープライズオントロジの概要
 4.2.2 エンタープライズオントロジの概要構築手順
 4.2.3 エンタープライズオントロジの構成概念
4.3 ビジネスタスクオントロジ
 4.3.1 ビジネスモデルケースライブラリ
 4.3.2 ビジネスタスクの分類
 4.3.3 ビジネスタスクオントロジ
4.4 ビジネスプロセスプリミティブ
4.5 ビジネス方法特許
 4.5.1 ビジネス方法除外の原則
 4.5.2 ステートストリート銀行特許訴訟
 4.5.3 ワンクリック特許訴訟
 4.5.4 米国における最近の動向
4.6 まとめ
参考文献

用語集
索引

内容説明

本書は、インターネット時代に有望な知的情報処理技術の応用領域について述べたものである。

目次

第1章 電子商取引とエージェント(電子商取引の状況;知的エージェント環境)
第2章 インターネットオークション(オークションの例:長距離電話;オークション理論で用いられる用語の説明 ほか)
第3章 情報推薦システム(eコマースの特性と情報推薦システムの役割;情報推薦システムはどう使われるか ほか)
第4章 ビジネスアイデアの情報化技術(エンタープライズマーケット;エンタープライズオントロジ ほか)

著者等紹介

菅坂玉美[スガサカタマミ]
大阪大学工学部通信工学科卒業(1979)。大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了(1984)。現在、富士通研究所

横尾真[ヨコオマコト]
東京大学工学部電子工学科卒業(1984)。東京大学大学院修士課程修了(1986)。東京大学工学系研究科電子情報工学専攻工学博士号取得(1995)。現在、NTTコミュニケーション科学基礎研究所特別研究員

寺野隆雄[テラノタカオ]
東京大学工学部計数工学科卒業(1976)。東京大学情報工学科修士課程終了(1978)。東京工業大学工学博士号取得(1991)。現在、筑波大学ビジネス科学研究科企業科学専攻教授

山口高平[ヤマグチタカヒラ]
大阪大学工学部通信工学科卒業(1979)。大阪大学大学院工学研究科博士後期課程修了(1984)。現在、静岡大学情報学部情報科学科教授

北村泰彦[キタムラヤスヒコ]
大阪大学基礎工学部情報工学科卒業(1983)。大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了(1988)。現在、大阪市立大学大学院工学研究科電子情報系専攻助教授

山田誠二[ヤマダセイジ]
大阪大学基礎工学部制御工学科卒業(1984)。大阪大学大学院基礎工学研究科博士課程修了(1989)。現在、国立情報学研究所教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。