スペクトラム拡散技術のすべて―CDMAからIMT‐2000、Bluetoothまで

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スペクトラム拡散技術のすべて―CDMAからIMT‐2000、Bluetoothまで

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  • サイズ A5判/ページ数 321p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784501322403
  • NDC分類 547.62
  • Cコード C3055

出版社内容情報

 敵に通信内容を傍受されないよう軍事用に開発された秘話方式であるスペクトラム拡散方式が,GPS(Grobal Positioning System:全世界測位システム)や携帯電話などの身近な分野に進出するようになり,TVコマ-シャルにまでCDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)が登場する時代である.
 従来,多重通信には周波数分割多重(FDM:Frequency Division Multiplex),時分割多重(TDM:Time Division Mutiplex)方式が用いられてきたが,これに対してスペクトラム拡散(spread spectrum)方式は,同一周波数,同一時刻上に混在している信号をチャネルに割り当てたスペクトラム拡散符号によって判別しようとする方式である.
 FDMやTDMでは設計段階で回線数が限定され,設計回線数を超えるユ-ザの通信要求には応えられない.一方,スペクトラム拡散方式は,拡散符号(一種の暗号といえる)によって従来の周波数変調,振幅変調の数百から数千倍にスペクトラムを拡散し,同一周波数帯域においてFDM,TDMに比較してより多くのユ-ザの通信要求に応えられる方式である.また,回線数に上限が存在せず,多くのユ-ザから通信要求があった場合でも,通信品質は劣化するが収容可能である.スペクトラムを拡散することにより信号強度はノイズに埋もれた状態となり,信号の存在を検知することが困難になって,拡散符号を解読できなければ復号も不可能なため,秘匿性にも優れた方式である.
 スペクトラム拡散通信では拡散符号が重要な要素であり,拡散符号を理解するためには数学の助けを借りなければならない.無線伝送における伝送路は空間であり,決して良好な伝送路とはいい難い.特に都市空間においては,伝送途中の障害により誤った情報を受信した場合の誤りの検出と誤りの訂正は必須の技術であり,これにも数学の力を借りる必要がある.また,限られた伝送容量の中で情報を伝達するには,デ-タの圧縮も大事な技術である.
 これら要素技術を理解するために多数の文献を読み,理解するには相当の努力が必要である.そこで,微分も積分も忘れ,集合論など知らないという人達を対象に,なんとか現場感覚でスペクトラム拡散をやさしく表現できないかと挑戦した次第である.理論的には正しくない部分があるかも知れないが,それは各分野の専門書を参照していただきたい.
 なお,スペクトラム拡散の応用例として直接拡散方式のIMT-2000を,周波数ホッピング拡散方式のBluetoothを仕様書を基に取り上げ,また,身近なGPS,電子透かしを取り上げている.
 本書を執筆するにあたり多数の文献を参考にさせていただいた.また,出版に際してお世話になった東京電機大学出版局の植村八潮氏をはじめ関係各位に感謝する次第である.
2002年4月
著者しるす

第1章 多元接続方式の概要
1.1 FDMA
 1.2 TDMA
 1.3 CDMA
 参考文献
第2章 スペクトラム拡散通信方式とCDMA
2.1 スペクトラム拡散方式とは?
 2.2 ベースバンドによるスペクトラム拡散
 2.3 ベースバンドSS信号の復調
 2.4 変調と排他的論理和
 2.5 SS方式の無線伝送
 2.6 SS方式の特徴
 2.7 SSからCDMAへ
 参考文献
第3章 CDMAのための拡散符号
3.1 拡散符号に要求される条件
 3.2 M系列符号
  3.2.1 モデューロ演算
  3.2.2 符号の多項式表現と原始多項式
 3.3 Gold系列符号
 3.4 FH方式のための拡散符号
  3.4.1 多値符号の表現
  3.4.2 符号間距離
  3.4.3 多値M系列符号
  3.4.4 リードソロモン符号(RS符号)
 参考文献
第4章 ディジタル変復調
4.1 ディジタル変復調の種類
 4.2 BPSK
 4.3 遅延検波によるBPSK(DBPSK)
 4.4 QPSK
 4.5 遅延検波によるQPSK(DQPSK)
 4.6 π/4シフトQPSK
 4.7 FSK
 4.8 位相変調とビット誤り
 参考文献
第5章 同期
5.1 同期とは
 5.2 同期捕捉
  5.2.1 スライディング相関器による同期捕捉
  5.2.2 整合フィルタによる同期捕捉
 5.3 同期保持
  5.3.1 ベースバンドDLL
  5.3.2 ノンコーヒーレントDLL
  5.3.3 タウ・ディザループ
 5.4 FH方式における同期捕捉と保持
 参考文献
第6章 音声信号の符号化
6.1 符号化とは
 6.2 波形符号化
 6.3 伝送周波数帯域と伝送ビットレート
 6.4 音声の効率的符号化
 6.5 発声のメカニズム
 6.6 分析合成符号化
 参考文献
第7章 移動体通信とCDMA
7.1 マルチパス伝送路とフェージング
 7.2 遠近問題とパワーコントロール
 7.3 多元接続とセルラー方式
 7.4 多元接続数
 参考文献
第8章 誤り訂正符号
8.1 誤り訂正符号の必要性
 8.2 線形符号と巡回符号
 8.3 巡回符号による誤り検出
 8.4 ハミング符号による誤り訂正
 8.5 伝送系における誤りの発生と誤りシンドローム
 8.6 多項式演算による符号化,復号化回路
 8.7 BCH符号
 8.8 リードソロモン符号
 8.9 トレリス符号
 8.10 畳み込み符号の復号 
 8.11 連接符号
 8.12 ターボ符号
 参考文献
第9章 スペクトラム拡散方式の応用
9.1 IMT-2000
 9.2 IMT-DS(W-CDMA)
  9.2.1 無線インタフェース
  9.2.2 データフレーム構成
  9.2.3 伝送路符号化とレートマッチング
  9.2.4 拡散符号
  9.2.5 上り回線の拡散処理
  9.2.6 HPSK
  9.2.7 下り回線の拡散処理
  9.2.8 同期捕捉
  9.2.9 送信電力制御
  9.2.10 ソフトハンドオーバ
 9.3 cdmaOne
  9.3.1 伝送路符号化
  9.3.2 拡散符号
  9.3.3 同期捕捉とソフトハンドオフ
 9.4 IMT-MC(cdma2000)
  9.4.1 無線構成
  9.4.2 チャネル構造
  9.4.3 伝送路符号化
  9.4.4 拡散符号
 参考文献
第10章 スペクトラム拡散方式の応用
10.1 スペクトラム拡散方式による距離測定
 10.2 GPS
 10.3 電子透かし
 10.4 Bluetooth
  10.4.1 Bluetoothの階層構造
  10.4.2 BluetoothのネットワークとBluetoothアドレス
  10.4.3 パケットの構成と誤り検出
  10.4.4 データの白色雑音化
  10.4.5 誤り訂正
  10.4.6 アクセスコード
  10.4.7 Bluetoothクロック
  10.4.8 Bluetoothの無線伝送
  10.4.9 Bluetoothの接続制御(同期捕捉と保持)
  10.4.10 ホッピングパターン
 参考文献
索引

内容説明

秘話方式として軍事用に開発されたスペクトラム拡散技術は、現在、携帯電話(CDMA)やGPSなど、わたしたちの身近な分野で利用されている。また、BluetoothやIMT‐2000、電子透かしなど、次世代のディジタル通信技術への応用も進んでいる。本書では、これらの技術について、厳密な数学などの議論を避け、できるだけ現場感覚でやさしく表現した。

目次

第1章 多元接続方式の概要
第2章 スペクトラム拡散通信方式とCDMA
第3章 CDMAのための拡散符号
第4章 ディジタル変復調
第5章 同期
第6章 音声信号の符号化
第7章 移動体通信とCDMA
第8章 誤り訂正符号
第9章 第3世代移動体通信システム
第10章 スペクトラム拡散方式の応用

著者等紹介

松尾憲一[マツオケンイチ]
東京電機大学工学部電気通信工学科卒業(1962年)。関西テレビ放送株式会社(1962年)、日本エレクトロニツクシステムズ株式会社(1997年)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。