• ポイントキャンペーン

エレクトリック・エンジン・カー―新しい自動車時代のはじまり

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B5判/ページ数 172p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784501111502
  • NDC分類 546.59
  • Cコード C3054

出版社内容情報

“高速に大地を駆けめぐり,大海へこぎ出し,大空へ飛び立つ”夢を追いかけ,人類は車両,船舶そ
して飛行機までこの世にデビューさせた。これら乗り物の初期の頃は動物や人間自身の持つ筋力,自然
がつくり出す風力などを推進力としたが,蒸気機関,内燃機関(エンジン)が発明されると,力と耐久
力は馬力や人力に比較して激増した。
 人間の耐久力からすると,歩く速度は約4km/h,走る速度は約40km/hが限度だが,内燃機関を搭
載した重量1tもある自動車に乗れば時速100km/h以上で軽く走ることができる。内燃機関搭載の
乗り物は高速性,利便性,快適性,そして信頼性においてすばらしく優れているのである。
 1880年代から開発が始まった自動車用エンジンは年を追うごとに小型,軽量,高出力化され,1990
年以後,エンジン自動車は量産技術の進歩に合わせ,大量供給と低価格化を実現した。その後の100年
間で自動車はあこがれの高級品というイメージから日常生活の道具という軽い感覚の乗り物になった。
 現在,先進国においてはマイカー時代が成熟,開発途上国においても同様な傾向をたどりつつある。
この結果“世界中,自動車の洪水現象”になり,さらに自動車という商品は高付加価値化の流れに乗っ
て,現在進行している情報化社会と合流,インテリジェント・モバイル自動車へと変わりつつある。
 だが,行き着く先には,すでに始まっている燃料になる石油(原油)資源の枯渇,燃料価格の急騰や
供給途絶,エンジンからの排ガスや排熱による環境問題,消費助長型自由経済の危機という大問題が待
ち受けているのである。
 1973年に始まった第一次,二次のオイルショックなどが赤色信号の点滅なら,石油の枯渇は全道路
上の赤色信号の点灯である。今世紀半ばの赤信号が点灯しないうちに,これらの大問題解決のために,
ガソリン車の燃費改善はもちろん,低・無公害車,石油代替車などの開発を急ぐ必要がある。
 このところ,この開発に成果が見られるようになり,石油による内燃機関一辺倒の構造に変化が始ま
った。それは新顔として,電気,メタノール,天然ガスなどの自動車それにハイブリッド自動車が路上
にデビューしてきたからである。そしてこれらは“石油代替・低公害車の4兄弟”などといわれるよう
になった。さらに最近は燃料電池自動車も誕生し,これも仲間に入れると“5兄弟”となった。この兄
弟中,究極の自動車は五つ星に輝く優等生の電気自動車だろう。他の車も星をつければ,内燃機関自動
車(☆☆☆),ハイブリッド自動車(☆☆☆☆),燃料電池自動車(☆☆☆☆)となるだろうか。
 電気自動車:Electric Vehicle(☆☆☆☆☆)はelectric automobile,electric motorcarなどともいわ
れるが,世界的な標準語としてelectric vehicle,単にEVという文字が使われる。
 そして,この電気自動車のエネルギー源を太陽電池出力に求めたソーラー電気自動車(☆☆☆☆☆☆)
となると,これは六つ星に輝くことになるだろう。
 長年,この分野に携わってきた著者が六つ星のソーラー電気自動車について最近の開発動向と,真の
実力を本書で紹介することにした。電気自動車普及への一策として,また電気自動車時代先取りを目指
す車好きな老若男女の方々やニューミレニアムに向かった車社会に本書が参考になれば幸いである。
 なお,長年の電気自動車開発において,詳細な成果は関連学会などに報告,記録として残したが,と
きどき新聞,テレビや雑誌に取り上げられたので,第4章の終わりにその一例と,また見出しのみだが
一部を参考として巻末に紹介した。時の流れに沿い,電気自動車を思う著者の執念を御拝察下されば幸
いである。

目次
第1章 自動車工学の新しい動向
1. 今,自動車社会に求められているもの
2. 人・物流マシンの変遷
3. 自動車社会にブレーキ?
     石油(原油)に関する常識
     石油価格の高騰,枯渇問題
     環境汚染の問題
第2章 石油代替自動車技術
1. 従来からのエンジン自動車
     エンジンの改善
     減速,停止時の燃料供給ストップ
     リサイクルへの対応
2. クリーンエネルギー,石油代替自動車
     天然ガス自動車(NGV)
     LPガス自動車(LPGV)
     メタノール自動車(MV)
     水素自動車(HV)
     燃料電池自動車(FCV,FC‐EV)
     ハイブリッド自動車(HV,HEV)
     電気自動車(EV)
3. ソーラー電気自動車
     太陽電池
     太陽電池による充電

第3章 手づくりソーラー電気自動車,日本一周から世界一周へ
1. S-EV[Today編]
     満充電で240km走行
     車検の申請
     日本一周に挑戦
     S-EV対ガソリン車,どちらが得か
2. S-EV[セルボ編]
     S-EVの試走,車検の申請
     高速道路〔東京⇒鹿児島〕に挑戦
     アメリカ大陸横断〔シアトル⇔ニューヨーク〕
     自動車王国アメリカでS-EV啓蒙
3. S-EV[スターレット編]
     鉛電池編-1997年モデル
     Ni-MH電池編-1998年モデル
4. 世界一周,S-EV challenge2000
     日本〔東京⇒富山〕
     ロシア〔ウラジオストック⇒ヴィボルグ⇒国境〕
     ヨーロッパ〔国境⇒ヘルシンキ⇒アントワープ〕
     アメリカ〔エジソン⇒ロスアンゼルス〕
     日本〔横浜⇒東京〕

第4章 残された課題
1. S-EVで世界一周を終えて     
2. S-EVの問題点
蓄電池
     充電設備,商用発電設備
     太陽電池の変換効率
     電磁波
     価格
3. S-EVの展望
     世界一周に浮かれるな
     S-EV教育はポスト・ガソリン時代の“種まき”である
     鉄道電車やトロリーバスのコード(架線)レス化がEVバスである
     夏を暑くしないためにS-EVの普及を
     乗り物すべてが太陽エネルギー燃料で動く日は
     太陽電池を活用したモバイル社会の構築

言葉の常識 光化学反応スモッグ/人為的な温室効果
新聞などに取り上げられた記事一覧
参考文献
索引

目次

第1章 自動車工学の新しい動向(今、自動車社会に求められているもの;人・物流マシンの変遷 ほか)
第2章 石油代替自動車技術(従来からのエンジン自動車;クリーンエネルギー、石油代替自動車 ほか)
第3章 手づくりソーラー電気自動車、日本一周から世界一周へ(S‐EV(Today編)
S‐EV(セルボ編) ほか)
第4章 残された課題(S‐EVで世界一周を終えて;S‐EVの問題点 ほか)

著者等紹介

藤中正治[フジナカマサハル]
学歴、東京電機大学工学部電子工学科卒業。工学博士。現在、東京電機大学工学部電子工学科教授。日本太陽エネルギー学会会員および同学会理事
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。