内容説明
多くの人が「装う」ことに目覚めた江戸時代。その情熱は身分の縛りをものともせずに、あらゆる創意工夫で百花繚乱の服飾シーンを創り出した。考証画家・菊地ひと美が彩色で挑む鮮やかな“大江戸服飾図鑑”。
目次
江戸前史
江戸時代
公家服飾
武家服飾
町人男服飾
男の髪形
女子服飾 江戸初期
江戸中期 町方女小袖
江戸後期 武家女小袖
江戸後期 町方女小袖
化粧と女の髪型
様々な人々
附属服飾
その他
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
冬佳彰
16
江戸衣装考証家である著者による、主に江戸時代の衣装、髪型、その他装身具の図鑑。男性と女性の各々に公家、武家、町人と、江戸初期、中期、後期のマトリックスで説明されている。男性は身分制によって衣装が限定されたが、女性は武家奥向き以外の差異は、比較的ゆるやかで流動性があった、と。男性の不自由さと、ある部分、小さな逸脱を繰り返し、流行を作り出したであろう女性の自由さか?日本画家である著者による彩色された挿絵が多いのも大変参考になる。あと五十年も経ったら、このような知見は顧みられなくなるのかもなあ。寂しいが。2021/09/22
Koki Miyachi
14
着物の黄金期、江戸時代の衣装の集大成。衣装を横軸に、縦軸には男服は身分・階層、女服は流行を反映しやすい歴史軸で全体が織り上げられている。出典が示された豊かなカラーの図版でヴィジュアルに江戸衣装を見ながら、当時の社会背景からくる風俗や生活ぶりを、衣装のデザインに繋がる関係性を意識しながら丁寧に解説している。どんな衣装にも細かいディテールやバリエーションがあり、そのデザインに至った理由がある。そんな豊かな読み取りもできてとても楽しい。デザイナーには堪らない一冊。2014/06/06
ともたか
9
何でもまとまっていると面白く読める、いや ながめられる。2016/03/11
あけの
5
挿し絵がイラストなのが残念 せっかくなら浮世絵とか現物のせてほしかったけどそれは無理だったのかな? そしてわたしが刺繍帯の扱いに混乱する理由がわかった 縫いだからだ 染め帯と織りの帯どっちに寄せるかに迷うのは そういうことかと 織りって言葉は難しい 指す意味が二通りある 紬の場合と織物(錦とか西陣とかそういうの)の場合とどちらととるかで意味がかわる まあ今時織物のきもの(錦とかそういうの)はまずないけどね^_^;あつても能衣裳だ2020/01/25
猪子
5
説明とイラストが見開き1ページずつの分かりやすい構成。かなり読み応えのある江戸衣装図鑑でした。現代のように着たいものを着るわけにはいかず、素材や色味まで厳しく決まっていた江戸時代。粋で楽しそうだな〜ぐらいに思っていましたが、身分の高くない人は悔しい思いをすることもあったんだろうなぁ。それでも規範の中で個性を出してお洒落を楽しむ姿は 粋でかっこいい。出典の多い「守貞謾稿」が気になるので関連の書籍を読んでみたいと思います。着物着たい欲も高まる。2019/04/16