内容説明
西洋絵画を鑑賞したとき、あるいはヨーロッパの美術館や教会を訪れたとき、こんなふうに思ったことはないだろうか。「キリスト教のことを知っていたら、もっと理解が深まるはずなのに…」巨匠たちが競って描いた名エピソードを題材に、聖書が伝える世界と、救世主イエスの教えを読み解く。
目次
旧約聖書―世界の始まりと、キリスト教の精神世界。(天地創造;アダムの創造;エヴァの創造 ほか)
新約聖書―イエスが残した数々の奇跡と、教えの意味。(ヨアキムとアンナ~金門の出会い;マリアの教育;マリアの結婚 ほか)
キリスト教とともに歩んだ、巨匠の軌跡。(ジョット・ディ・ボンドーネ―聖なる物語に人間性を与えた、“近代絵画の父”;マザッチョ―ルネサンス前夜を駆け抜けた、宗教画の革命家。;フィリッポ・リッピ―聖俗を併せもつ修道士が描く、親密な聖母子像。 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
西洋美術と共にキリスト教のあらましを知るには最適と言えるでしょう。絵画の説明がメインで聖書に関する記述は最低限ですが、それでも基本をおさえるには十分だと言えます。ただ絵画の場面について時代背景の説明があっさりしているのでどちらかというと絵画鑑賞に向いているかもしれません。西洋美術には聖書を題材にしたものが多いので、聖書の知識は多少なりとも必要です。そういう面で下地作りにはいいでしょうね。分量としては丁度いいでしょう。2014/11/15
井月 奎(いづき けい)
32
聖書は断片的なことしか知りません。その限られた知識の中から思うのが、もちろん新約聖書での噺ですが、イエスの心の中に聖と俗は同居しており、民もまたそうであるということです。なぜ同じく聖と俗を持ちつつ神の子と市井の民に別れるのでしょうか。聖書はそれを読む人に考えることを強いるのです。キリスト教絵画はその解釈をさらに広げます。キリスト教徒は、いえ宗教とは自らの内面を見つめるための鏡でもあるのです。ゴルゴダの丘に登る際に跪いたイエスは体の重みに崩れたのでしょうか、それとも心に去来した失望の痛みからなのでしょうか。2016/11/23
チサエ
13
絵画で見るキリスト教と、その歴史。たくさん知ってる絵が載っててテンション爆上がり。マリアさまについては、私はプロテスタントのクリスチャンなので信心ないけど、やっぱり綺麗で、無原罪の御宿りとかほんと素敵。いろいろな画家による宗教画が載ってるけど、私はカラバッチョの絵画が好きだなあと再認識。そして、Part 2へ続く。2022/06/24
nekozuki
10
美術館が好きだが、毎度、断片的かつ広範な宗教画を見るたびに「意味がわかればもっと楽しいだろうに」と思っていた。本を漁ると芸術史だと表現技法など芸術的タイムラインでの作品の位置づけに主眼が置かれることが多く、キリスト教入門だと思想の説明で終わり絵画のモチーフまでは分からなかった。本書で、旧→新約聖書の全体的な流れとそれぞれにおける芸術作品群の位置付け、各時代の芸術家たちについて掴めた気がする。2016/10/02
たか
7
このシリーズ他にイスラムやユダヤもあるみたいだから順番に読もうかな2016/11/29