内容説明
どうするかなー、今後の人生。そろそろなにか決めなきゃいけないかも。そんな年頃の同級生3人。明日に向かって一歩ずつ。三人三様の一年間。
著者等紹介
柴崎友香[シバサキトモカ]
1973年大阪生まれ。1998年「トーキング・アバウト・ミー」が文藝賞最終候補となり、2000年『きょうのできごと』を上梓、04年に映画化され話題となる。07年『その街の今は』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、織田作之助賞、咲くやこの花賞を、10年『寝ても覚めても』で野間文芸新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
111
30代の3人の女性たちの日常を描く長編。小説だからフィクションだと思うのだが、まるでドキュメンタリーのように真実味があるのに驚いた。大学職員のかおり、イラストレーターの珠子、雑貨店を経営している夏美の3人は架空の人物ではなく、実在の人物として日本の街のどこかで暮らしていそう。あまりドラマチックなことが起こらずに、淡々と日々が過ぎていく感じが良かった。現実の生活はそういうものだと思う。初めて読んだが、柴崎さんは散文の芸術としての小説の本質をよく理解している人だと思った。2014/09/04
なゆ
60
いつの間にか30代…な3人の女性たちのごくフツーな日常をそっと見つめてるような小説。大きな事件も感情が昂ぶることもなく、ちょっと気持ちが揺れるようなそれぞれの一年間。既婚で3人の子育てしながら雑貨店を営む夏美、学校職員で年下の彼氏と同居中のかおり、イラストレーターで彼氏ナシ母親と二人暮らしの珠子、三人三様の日々のあちこちに共感ポイントがある。友達&恋愛のことだけでなく家族や親子関係、それぞれの仕事ぶりなど、いつもより盛りだくさんな気が。初めて柴崎さん読む人にいいかも。最後の人物相関図もわかりやすいし。2014/07/23
ねむねむあくび♪
57
年の瀬の、大掃除の合間に読んでました。この緩やかな感じが、自分も物語の同期生になった気分で、入り込み易かったです。柴崎さんの作品は、益田ミリさんのスーちゃんを文章で読んだ感じがして、好きです。この作品では、気がついたら、いい大人の年齢になっている同期生3人が主役…。みんな、何かを探してちょっとだけでも行動している、しようとしている。ドラマチックな展開はなくても、出来ることから始めたり、出来ることから片付けてるって “ちゃんとした大人” ですよね(⌒‐⌒)2013/12/28
とりあえず…
39
柴崎さんらしく、等身大。3人の女性のそれぞれの目線から一年を描いた本作。大きな起伏はなくとも、小さな幸せに心が躍り、小さな諍いに消沈する。そういう小さな感情の重なりが今を作っている。他ならぬ彼女達自身が選んできた道。3人の息遣いを感じながら自分もそっとその場にいるような気にさせる、ありのまんまの一冊でした。タイトルがいいですね。2014/01/23
巨峰
34
30代の女性同士の3人の友達の物語が、入れ替わりながら進む。時折鮮烈な瞬間がありつつも、柴崎さんらしく割合楽しめた。関西の言葉や土地から離れていくのは、表現の幅を広げる意味で仕方ないのでしょうね。2013/02/16