ちくまプリマー新書
地域を豊かにする働き方―被災地復興から見えてきたこと

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  • サイズ 新書判/ページ数 169p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480688873
  • NDC分類 601.1
  • Cコード C0236

出版社内容情報

大量生産・大量消費・大量廃棄で疲弊した地域社会に、私たちは新しいモデルを作り出せるのか。地域産業の発展に身を捧げ、被災地の現場を渡り歩いた著者が語る。

内容説明

震災により、私たちは「地域」をベースに暮らしていることが痛感された。しかし地域社会は、20世紀型の経済発展モデルに疲弊しきっている。本書は、国内外8000工場を踏査した「現場学者」が被災地を訪ね歩き、地域、そして自分自身が豊かになる働き方を考えた渾身のレポートである。

目次

第1章 震災で鮮明化した「地域」の大切さ―成熟社会の私たちのあり方
第2章 岩手県大槌町/津波災害と地域産業―すべてを波にさらわれた町で(大槌町の被災と復旧の状況;すべてを波にさらわれた跡地で;被災を免れたモノづくり中小企業;小さな港町の地域産業のあり方)
第3章 福島県浪江町/原発災害と地域産業―避難する中小事業者の取り組み(浪江町の被災と避難状況;故郷を離れて;避難した人びとを支えるサービス業、小売業;全てを失い、避難地で再開する製造業;中小企業は地域の「力ある市民」)
第4章 茨城県日立地区/地震災害と地域産業―近くの異業種、遠くの同業種の交流(日立周辺の被災と復旧の状況;ひたち立志塾とネットワーク;驚異的なスピードで回復した製造業;「近くの異業種、遠くの同業種」)
第5章 地域産業と私たちのこれから

著者等紹介

関満博[セキミツヒロ]
1948年生まれ。一橋大学名誉教授、明星大学教授。専門は産業論、中小企業論、地域経済論。現場主義を標榜し、100冊を超える著書を持つ。2000年より全国の工業集積地などで私塾を展開。気仙沼市、浪江町などの震災復興委員も務める。『空洞化を超えて』(日本経済新聞社、サントリー学芸賞)など著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

calaf

11
少子高齢化が進み、人口が減少していく日本では、「地域」をもとにした労働が重要性を帯びてくるらしい...もちろんこれまでも、地域(地元)の重要性は多く叫ばれていたものの、東日本大震災の被災地復興の様子を見ていくと、より一層重要度が増してくるように見える...確かにそうかもしれません。でも、私には起業なんていうのは無理だなぁ... (^_^;;;2012/09/10

メタボン

10
☆☆☆ 近くの他業種、遠くの同業種との連携という観点が、印象に残った。地域を強く意識すること、付加価値をいかに高めていくかということ、それが人口減少・高齢化が進む日本の産業振興のポイントとなっている。2015/01/10

鎌倉 幸子

6
岩手県大槌町、福島県浪江町、茨城県日立地区の事例が載っています。改めて震災などが起きる前からどのような人間関係を創っていくかが鍵となることを実感。「近くの異業種、遠くの同業種」とつながっていること。日立地区が直後Twitterで機材の呼びかけをしたところ、全国から集まった事例がありました。こちらSNSでつながっていることはもちろんなのですが、勉強会なので顔を合わせていたことも特記すべき。デジタルとアナログを組み合わせながら人とのつながりを「育てて」いくことなのだろう。2014/12/26

えふ

4
面白い。地方の自営業にしろ中小企業にしろ、それらは地域を土台として成り立っているというのはその通りだと思う。地域の中で仕事や生活が成り立っていれば、普通の務め人よりもずっと地域に対する愛着も育つように感じる。堺市のシャープ工場の顛末や地方に進出した大手スーパーの最後を思うと、行政は大手企業の誘致よりも、地場産業の支援を強くした方がいいんじゃないかと思った。夕張市の例を見ても、役所はまずなくならない。民間企業のような十年、二十年の計画でなく、その先まで考えたまちづくりをしていかなきゃいけないんだと思う。2013/10/02

壱萬弐仟縁

3
☆☆☆・・・地域産業論の実証分析で知られる著者の好著。「人の姿の見える地域」とは、家と人間関係、働く場、楽しめる場が一通り形成されている場(16ページ)である。これらの要素が一つでも欠けているのが多くの地域の実態であろう。評者は、観光案内所が必要な場所にない地域に立地してほしいと提言している者の一人であり、適材適所の人材配置も重要に思った。被災地で産業を再生させようとして頑張っている現場からの事例が数多く紹介され、不況からの脱出に苦悶する者にもエールを送る内容。「生活基盤」(88ページ)が特に重要だ。2012/09/19

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