出版社内容情報
猫たちがいきいきと描かれている短編やエッセイを一冊に。内田百閒が、幸田文が、大佛次郎が、川端康成が、向田邦子が魅せられた猫大集合!
内容説明
大佛次郎、寺田寅彦、太宰治、鴨居羊子、向田邦子、村上春樹…いつの時代も、日本の作家たちはみんな猫が大好きだった。そして、猫から大いにインスピレーションを得ていた。歌舞伎座に住みついた猫、風呂敷に包まれて川に流される猫、陽だまりの中で背中を丸めて眠りこんでいる猫、飼い主の足もとに顔をすりつける猫、昨日も今日もノラちゃんとデートに余念のない猫などなど、ページを開くとそこはさまざまな猫たちの大行進。猫のきまぐれにいつも振り回されている、猫好きにささげる47編!!
目次
1 のら猫・外猫・飼い猫
2 仔猫がふえる!
3 猫も夢を見る
4 猫には何軒の家がある?
5 そんなにねずみが食べたいか
6 パリの猫、アテネの猫
編者エッセイ 猫が宿る日本語
著者等紹介
和田博文[ワダヒロフミ]
1954年横浜市生まれ。神戸大学大学院文化学研究科博士課程(文化基礎論)中退。奈良大学文学部教授、東洋大学文学部教授を経て、東京女子大学現代教養学部教授。ロンドン大学SOAS、パリ第7大学、復旦大学大学院の客員研究員や客員教授を務める。著書に『シベリア鉄道紀行史―アジアとヨーロッパを結ぶ旅』(筑摩選書、交通図書賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
104
猫に関するアンソロジーです。むかしの文豪といわれている人たちは猫が好きな人が多かったのですね。とくに大佛次郎は有名ですがその他にも多くの作家がこんなにも書かれているとは知りませんでした。やはり犬よりも身近にいるということなのでしょうか?最後には村上春樹さんのちょっと変わった作品が収められています。2022/02/22
mii22.
70
【にゃんこまつり2019④】昭和の文豪による猫にまつわる、小説、詩、随筆が47篇。猫は偉大だ。日本の名だたる作家先生方に多大なるインスピレーションを与え、愛されてきたのだから。今とは違った日常での猫たちとの関わりが、時に愉快に時に切なくあるいは残酷に綴られている。一番のお気に入りは、与謝野晶子の二篇。特に「猫」はもうこのページから先に進めないほど何度も読み返し、この世界にとどまった。大好き。2019/02/22
sin
67
昭和の猫は貰われたり、拾われたり、贈られたり、捨てられたり挙げ句の果ては可哀想だと言って沈められたり…まるで生き物ではなくモノのような扱いだ。戦争というモノも命も薄い時代がそうさせたのか?本に集められた文士たちはともかく、人も猫に劣らず生きるのに精一杯だったのだろう。ただ、今のように生き物を可愛いといっては抱き、面倒だからと捨てる、モノも食べ物も棄てるほど在る時代とはその根本が違うことは確かだ。いや野良という自由の許されないペットショップの陳列品として扱われる今の猫たちの方がよりモノに近いのかもしれない。2022/11/21
ペグ
62
楽しかった〜!猫にまつわるエピソードや短編などなど。大佛次郎さんの文体が意外と(無知ゆえ知らなかったが)豪放磊落で。考えてみればあの(鞍馬天狗)の作者。色彩的で繊細でもあり素敵でした。もひとつ印象的なのが内田百閒先生の(猫が口を利いた)(^_^)v私も真似して(キャバレやカフェで、でれでれしてたら、コクテールのコップなど、いくらでもはたき落としてしまふ。ダナさんわかったか)って言ってやりましょう!2017/08/18
愛玉子
49
猫にまつわるアンソロジー。時代とはいえ猫の扱いがかなり乱暴な話もあるので(旧字体の作品もあり)全ての猫好きさんにお勧めできるとは言い難いけれど、文豪たちの文章はストレスなく読めます。印象に残った文を。「世界は今、黒猫の所有(もの)になる」(与謝野晶子)「私は猫に対して感ずるような純粋な温かい愛情を人間に対して懐く事の出来ないのを残念に思う。そういう事が可能になるためにはわたしは人間より一段高い存在になる必要があるかもしれない」(寺田寅彦)「さうして私は猫に仕へ始めた」(野溝七生子)「やれやれ」(村上春樹)2023/02/17