出版社内容情報
インド思想の根幹であり後の思想の源ともなったウパニシャッド。本書では主要篇を抜粋、梵我一如、輪廻・業・解脱の思想を浮き彫りにする。
内容説明
ウパニシャッドとはサンスクリット語で書かれた一群の神学書・宗教哲学書の総称である。インド思想の根幹をなすこれらの書は、ヴェーダの神話と祭式の伝統の上に成立したものであるが、それまでのバラモンの祭式万能主義とは一線を画し、当時の王者の活躍を背景に、真理探究を志し、宇宙万象の一元を説く哲学を展開した。本書は紀元前4~8世紀に遡る古ウパニシャッドから主要篇を抜粋収録。そこには、ブラフマンとアートマンの二元を同一視しその上に絶対不二の根本原理を説く「梵我一如」の哲学思想と、仏教等の土壌となった輪廻・業・解説の宗教思想が浮彫りにされている。
目次
カウシータキ=ウパニシャッド(抄)
チャーンドーグヤ=ウパニシャッド(全)
ブリハッド=アーラヌヤカ=ウパニシャッド(抄)
カタ=ウパニシャッド(全)
プラシュナ=ウパニシャッド(全)
著者等紹介
岩本裕[イワモトユタカ]
1910‐88年。愛媛県生まれ。仏教学者、古代インド文学者。京都帝国大学卒。京都大学講師、東海大学教授を経て、京都橘女子大学教授、創価大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
23
古代印度婆羅門の奥義書。兎に角手強く、一度読んだだけでは理解しきれない。主に梵我一如、世界と個人の関わりについて記した箇所が多いが、個人的にはその部分が宇宙論のように思える。秘された知識を得ることによりこの輪廻より逃れえるという事が記されているが、この知識により解脱するという部分は後代の様々な思想、例えば仏教等に影響を与えているようにも思う。後、読み落としたのかもしれないけどプルシャの意味がいまいちよくわからないなあ。これはアートマンとは別物だろうけど、その立ち位置がいまいち理解できなかった。2013/02/27
壱萬弐仟縁
14
色の描写はいいな。太陽の赤は熱。白いのは水の色(132ページ、この感覚はわからない・・・)。黒いのは食べ物。そして、月の色も赤。などと続いていく。梵我一如で、白黒の対照も敢えて書いているのかもしれない。そのことで双方の特徴が際立ってくるということだろう。複雑怪奇な現代社会にあっては、こうした書物の価値が精彩を放つ。人間の根幹に関わる内容より成るためである。善悪。天罰が下らないためには、どう悔い改めるべきか。輪廻。ウパニシャッドは秘密の教えとの意味もある(375ページ)。2013/06/13
プロメテ
11
本書は古代インド哲学の源泉である。バラモン教、仏教、ヒンドゥー教と、インド由来の哲学、宗教の源流はここにある。本書は主題が絞られていたことや、リフレインの言い換えが多用されていて、すんなりと読めた。梵我一如を達成するため、輪廻からの解脱のために、この世を放擲することが求められる。気息を第一とすること。これは禅仏教やヨーガでも共通することだが、もっとも大切なことなのだろう。キリスト教でも霊や息がキーワードとなることから、ここが最重要の地点となるだろう。不死、とは意識の生起を止息すること、死と復活なのだろう。2024/02/04
Syujin Yukido
2
ウパニシャッドの解説本を読むより、ウパニシャッドを読む方が早い。こんなに面白く読めるとは思わなんだ。梵の本質が、虚空、言語、感覚器官、熱にあるとこんなにはっきり書いてあるとは。2019/08/16
せぷてんば
0
難解。思考のすすめ方が独特。梵我一如と輪廻転生の思想が説かれ、インド哲学や仏経の源泉になっているとのこと。2018/09/15
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