出版社内容情報
1970年代、左翼闘争の中で起きた謎の殺人事件。冤罪と騒がれるその裁判記録の分析に著者が挑み、歴史家の、裁判官のとるべき態度を鮮やかに示す。
内容説明
1972年、イタリア新左翼運動のさなかにミラーノでひとりの警視が殺害された。事件の黒幕として、16年後に告発されたのは著者の友人、アドリアーノ・ソフリであった。友人の無実を証明すべく立ち上がったギンズブルグが、裁判記録を丹念に読み解きながら、事件の経緯を臨場感あふれる筆致で描きだす。証言、証拠、記録―ともにこれらに向き合いながら、裁判官は、歴史家はそれぞれどういう態度をとるべきなのか。単なる実証主義でも、「歴史=物語」とする相対主義でもない、歴史学の「第三の道」を探りつづけるギンズブルグの方法論が、事件の検証を通して鮮やかに示される。
目次
窓から舞い落ちた死体―十六年後の告発
裁判官と歴史家
予審判事ロンバルディの報告
裁判長ミナーレの追及
殺害指示
歴史学的実験としての裁判
謎の十七日間
憲兵たちの証言
闇に包まれた夜の面談
ヴィンチェンツィ司祭の証言〔ほか〕
著者等紹介
ギンズブルグ,カルロ[ギンズブルグ,カルロ][Ginzburg,Carlo]
1939年生まれ。イタリアの歴史家。ミクロストリア/マイクロヒストリーの創始者。ボローニャ大学教授、カリフォルニア大学ロスアンジェルス校教授、ピサ高等師範学校教授などを歴任
上村忠男[ウエムラタダオ]
1941年生まれ。東京外国語大学名誉教授。思想史家
堤康徳[ツツミヤスノリ]
1958年生まれ。イタリア文学研究者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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