出版社内容情報
欠陥翻訳撲滅の闘士・ベック先生が、意味不明の訳を斬る! なぜダメなのか懇切に説明、初級から上級まで、課題文を通してポイントをレクチャーする。
内容説明
なにかにつけて「説明責任」が問われる昨今、では翻訳については?「意味わかんない」「へんな日本語!」「なんでこんな訳になるの?」と読者が思っても、翻訳者は「原文がそうなんだから」とまるで他人事、説明責任などどこ吹く風、だった。歯に衣着せずに欠陥翻訳と戦ってきた闘士・ベック先生、そこでまたも立ち上がった。この訳のどこがダメか、どうすればスッキリいい訳になるのか、懇切に説明。実践篇では中学レベルから上級まで、レベルに応じてさまざまなタイプの課題文を出題、悪訳と良訳を並べ、原文理解と翻訳のポイントを具体的にレクチャーする。
目次
第1部 講義篇(翻訳者の説明責任とは;翻訳とはいかなるものか)
第2部 実践篇(偉大な英訳者が遺した好例;ステップ1 中学英語で足ならし;ステップ2 高校レベルで実力チェック;ステップ3 上級に挑戦!実力アップ15講)
著者等紹介
別宮貞徳[ベックサダノリ]
1927年東京生まれ。上智大学英文学科卒業。同大学院修士課程修了。元・上智大学文学部教授。翻訳家。幅広い知識を基に多岐にわたり活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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法水
4
エドワード・サイデンステッカーさんの『日本語らしい表現から英語らしい表現へ』に倣って、翻訳家の責任説明を果たそうという試み。実践篇では教科書ガイドや学生の訳文と著者自身の訳例を並べ、ここはなぜこういう訳になるのかを詳述。一つ前に読んだ宮脇孝雄さんが台詞の合間のhe saidなどは訳すべきだというのに対し、別宮さんは省略した方がいいというスタンスなのが面白い。個人的には宮脇さんに一票だな。笑2018/09/17
ブルーローズ
2
3月31日読了。後半部分の練習問題に時間がかかった。前半部分はチェスタトンの頭韻の部分とか、楽しめた。翻訳が難しいのは、(その言語や文化で)世界の割り方が違う という考えには納得。2012/04/30
総代
1
海外の小説を読みながら訳が上手いとか下手とか思う。翻訳のバイトなんかしていると(英語じゃないが)どこを気を付けていればよいか、たしかにと思えることもある。例えば指示代名詞をなるたけ消すとか。本書はジャンルによらず多くの例から、解説されている。ドリルのようでちょっと読みにくいのでなんとかならんか。2011/10/02
丰
1
翻訳とはいかなるものか:”外国語を逐一日本語に置きかえるのではなく、外国語で書かれたものから得られたイメージを日本語で表現する”こと(50p) 日本語らしい表現のための五カ条:1長い複雑な連体修飾句を避ける。2適宜、接続詞などつなぎのことばを入れて、論旨を明らかにする。3名詞(動名詞、抽象名詞)を軸に構成された句を、動詞を軸とする文に還元する。4代名詞をできるだけ削る。5無生物を動作主語、あるいは受身の主語にしない。(114p)2011/09/11
Hamada Kensuke
0
もう誤訳を探す気力・体力はないのだろう。今回のつっこみ対象は、なんと中学生向けの教科書ガイドや翻訳学校の生徒の訳。初学者にはそれなりに得るものがあるだろうが、体系的じゃないのでおすすめできない。2013/04/28