出版社内容情報
古代から現代まで、日本語の全貌を解明する新書で初めての通史。文字・音韻・語彙・文法の変遷から、日本語の起源の姿が見えてくる。
沖森 卓也[オキモリ タクヤ]
内容説明
日本語の通史を総合的に描く初めての新書。日本語の変遷を古代(前期・後期)/中世(前期・後期)/近世/近代という時代ごとに、総説・文字・音韻・語彙・文法の五つに分けて整理していく。日本語は世界の言語の中でも比較的、古代からの変遷が少ない。であればこそ、現代語との関わりのなかで、日本語史を記述していくことが可能となるのだ。日本語の変遷の全体像がわかるだけでなく、現代の慣用表現や方言などに残る過去の日本語の痕跡をたどる謎解きとしても楽しめる一冊。
目次
第1章 古代前期―奈良時代まで
第2章 古代後期―平安時代
第3章 中世前期―院政鎌倉時代
第4章 中世後期―室町時代
第5章 近世―江戸時代
第6章 近代―明治以降
著者等紹介
沖森卓也[オキモリタクヤ]
1952年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科修士課程修了。立教大学文学部教授。専門は日本語学。とくに日本語の歴史的研究。『辞林』シリーズ(三省堂)を長く編集、執筆してきている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
61
テスト勉強用参考文献。こういうまとまった内容のものを新書版で発売してくださることが本当にありがたい。2017/04/17
サアベドラ
27
上代から近代までの日本語の歴史(文字、音韻、語彙、文法)を一冊の新書にまとめた労作。なんでわざわざ新書で出したのかよくわからないが、リーズナブルなお値段で日本語の歴史を一通り眺めることができるので便利。ただ説明が少々わかりにくく、(最低でも初版には)誤字脱字が結構あったので読むに苦労した。個人的には上代日本語の活用形の起源と平安時代のアクセントの項目が役に立ちました。2018/09/10
ホシ
17
古代から近代に至る日本語の歴史を、文字表記・音韻・語彙・文法の4項目に分けて総合的に解説する。新書だが、うちら業界人にとっては、日本語史のハンドブックとしても重宝できる一冊だ。学生時代に日本語史は学んだが、その時以上の事を本書から学ぶ。読んでいる間は驚愕の連続だった。時代が下るにつれ意味が汲みやすくなることもあって、本書の後半、中世後期あたりからは特に面白く読む。祖母は今でも「食べなかった」を「食べざった」と言ったりするが、こんな祖母の一言にも日本語の歴史が秘められているんだよなぁと、つくづく思う。2017/09/24
俊介
13
新書にしては大著だ。読了まで時間かかった。日本語の歴史という興味深いテーマだが、事実列挙型の記述が多いため、少し退屈したかも。とはいえ、これだけの文量で古代から現代までの日本語の「かたち」を辿ったというのはとても貴重だ。古文、特に文法の授業は苦手だったけど、大きな歴史の流れの中で捉えると、現代日本語と有機的な繋がりが見えてきて、親しみが湧いた気がする。現代の「ら抜き言葉」もそんな文脈の中に置いてみると合理的な進化なんだという説にも納得した。その進化の方向性と、言語の同一性との葛藤が、言葉の歴史なのだろう。2020/02/18
マッキー
13
膨大な日本語の変遷の記録と実例をおさめた素晴らしく情報量の多い本書。これが1200円ほどで読めるという喜び。音韻の変化や接頭語なんかについても触れている。国文学や日本文学や言語学を専攻している人にはぜひとも読んでいただきたい。2018/03/26