ちくま新書<br> 死刑肯定論

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ちくま新書
死刑肯定論

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  • サイズ 新書判/ページ数 234p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784480068132
  • NDC分類 326.41
  • Cコード C0232

出版社内容情報

深い懊悩を経た元裁判官が死刑の究極的論拠を探る。従来の宗教、道徳、哲学、法学上の議論をまとめ、罪と罰の本質をえぐりだす。呻吟の末たどり着いた結論は。

内容説明

死刑論と言えば、これまで存廃論議に終始していた。存置にしろ廃止にしろ、正義論を根拠に語ると、結局は優劣を比較したり、感情論に終始したりするなど、相対的なものでしかなかった。従来強調される「人的道な見知」「犯罪の抑止効果の有無」「誤判の可能性」…には、大きな錯誤があるのだ。本書は、これまでの議論や主張をコンパクトに整理。人はなぜ死刑を求めるのか、あらたな視点で死刑の究極的論拠をさぐり、罪と罰の本質をえぐりだす。

目次

市民が死刑判断をする意味
死刑の二律背反
死刑論の時代的限界
死刑の全根拠
冤罪問題で死刑を廃止するか
死の権力の全貌
被害者の復讐感情は野蛮か
人数基準に意味はあるか
悪性は根拠になるか
死刑を求める「安全な社会」〔ほか〕

著者等紹介

森炎[モリホノオ]
1959年東京都生まれ。東京大学法学部卒。東京地裁、大阪地裁などの裁判官を経て、現在、弁護士(東京弁護士会)。裁判官時代には、官民交流で最高裁から民間企業に派遣され、三井住友海上火災保険(株)に一年間出向勤務した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GAKU

56
題名は「死刑肯定論」だし、筆者自身も死刑肯定派である。しかし内容は過去に頻繁に議論されてきた事に関し、西洋哲学の観点や現実の事例などを交えて、理性的、論理的に”死刑”に関して述べている。一概に肯定か?否定か?短絡的な答えを導き出す事はなく、私達個人個人に改めて”死刑とは?”と考え、悩む機会を与えてくれた1冊でした。この方の著書は過去何冊か読んだが、どれも興味深かった。 2019/01/30

大道寺

12
従来の死刑論を冷静に整理した上で、新しい死刑肯定論を語る。「確信的死刑肯定論者であるためには、冤罪で自分が死刑になる可能性を覚悟しなければならない。そうでなければ、ただの欺瞞に終わる。」という姿勢で説得力のあることを言っていると思う。私はどちらかといえば死刑廃止論者だが、タイトルでスルーせずに読んでみてよかった。2015/06/24

鬼束

12
本の内容としては面白かった。著者の主張に見るべきところもあったが、安易に同調できるものでもなかった。秋葉原の通り魔殺人事件の加害者の場合の話だが、彼は非正規雇用者という社会における負け組として鬱屈し、それが爆発したことで殺人に至り死刑でもって処された。現代管理社会が市民の安全のために死刑でもって排斥を目論む敵対者が、アウトサイダーではなく、この社会の内で周縁に追いやられた存在であるという皮肉。自ら悪を産み出しそれを死刑で処する。このような負の連環が成り立つ根源に死刑は与していないのだろうか…2015/04/22

Ayumi Katayama

10
私は死刑廃止派である。故にこのタイトルの本は気になってはいた。なにも噛みつこうというのではない。肯定されるその理由がはっきりすれば、それを変えていけば廃止できるかもしれない。そう考えてのことである。読み終えた今、少し残念というのが正直なところであろうか。▼この国で死刑が廃止できない理由は、遺族感情それだけだと思っている。遺族は残された最大の関係者であり被害者の唯一の代弁者でもあろうから、もちろんおざなりにできるものではない。同時に対応も容易ではない。2018/06/03

活字スキー

8
「可能性を奪ったら彼は死にました。そう……確かに残酷です、彼も私も。(中略)生命自体よりその可能性が意味を持ち、評価の対象となります。彼の悪夢が生活廃水なら、私はそれにまみれる廃水処理機……」(士郎正宗『攻殻機動隊』より)自衛隊を名実共に軍隊とし、国外で積極的に武力行使出来るようにするかどうかとも重なる話だが、公然と「ヒトがヒトを殺す」という恐るべき事態に関しては、いくら議論を重ねてもやり過ぎるという事はないと思う。現実として、より妥当らしい法の在り方とは。理想だけでもやってはいけないけれど。2015/02/03

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