内容説明
戦後のアメリカは、日本とドイツで行った自らの統治政策を「良い占領」のモデルとみなし、イラク占領等を正当化する材料として長く利用してきた。だが勝者による征服は、本当に「平和」と「正義」の実現を意味していたのか。兵士たちが残した手紙や日記を辿り、性・階級・人種をめぐる軍政下の実像に迫る労作。
目次
序論 「占領」という不快な言葉
第1章 占領準備
第2章 征服の日々
第3章 アジアでの勝利を演出する
第4章 兵士と性
第5章 根こそぎにされた人、不機嫌な人
第6章 低下する士気、動員解除を望む声
第7章 「タダ」でほしがる兵士たち
第8章 家庭的な占領
結論 良い占領?
著者等紹介
カラザース,スーザン・L.[カラザース,スーザンL.] [Carruthers,Susan L.]
ウォーリック大学歴史学部教授。博士(リーズ大学)。歴史学者。専門は20世紀以降のメディアと戦争の関係、冷戦文化、植民地における「対反乱作戦(counterinsurgency)」
小滝陽[コタキヨウ]
関東学院大学国際文化学部専任講師。博士(一橋大学大学院社会学研究科)。歴史学者。専門はアメリカ合衆国の現代史、特に戦争と福祉、障碍者リハビリテーション(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
勝浩1958
12
まだ日本はアメリカに占領されているようなものでしょう。 米軍の基地がある限り。アメリカ軍の駐留費の負担増額どころか今後一切の費用を負担しないと宣言したら、アメリカは日本から軍を本国に引き揚げるだろうか。否、そのような非現実的な政治判断は日本もアメリカも行わないだろう。ということは今後も占領状態は続くということか?2020/05/07
ポルターガイスト
6
支配者から非支配者への一方的な影響だけを見て戦後占領史を描くのは単純すぎる。そんなことはイラク戦争の顛末などを見ていればすぐわかるはずだ。という話を当時の生の声を拾い集めながら論じている。いわゆる「WGIP」を誇張する歴史観は,そんな当たり前のことをことさら強調している点でナイーブな見方だと思っていたが,この方向から批判することもできるよなあと思った。なお俺は日独戦後史の比較をしたいと思って買ったが,その点から言えば収穫がなかったわけではないけど,比較という観点にそれほど力が置かれているわけではなかった。2023/01/12
渓流
2
占領される側にとって良い占領などあるはずもないが、占領する側の下士官、兵隊にとっても占領は重たい仕事だと分かる。下々の手紙から見えるもう一つの戦後史。2019/12/06
とりぞう
1
「戦後の対日本政策について、1944年にギャラップ社がアンケート調査を行った。13%の人が『すべての日本人を殺す』と回答し、また、3分の1の人が、政治体としての日本を破壊すべきだと答えている」なんて話など。面白くはあった。でももっと面白くなったはず^^2019/12/11
-
- 和書
- 長淵剛vs.桑田佳祐