出版社内容情報
日本と朝鮮、戦時下における文化「協力」
〈内鮮一体〉の掛け声のもと一度は手を取り合いながら、戦後には否認された数々の経験と記憶。忘れ去られたその歴史を掘り起こし、「協力vs抵抗」では捉えきれない朝鮮人作家たちの微細な情動に目を凝らす。日本と朝鮮半島に共有された植民地近代という複雑な体験がもたらす難問に挑み、ポストコロニアル研究に新たな光を当てる画期作。
「本書で論じられるのは、「韓国(朝鮮)と日本の近代史において親しく分有され、しかし否認されてきた植民地的過去と、アジア・太平洋地域において争われているその遺産の広範な意味」である。植民地末期に活躍した金史良(キムサリャン)、張赫宙(チャンヒョクチュ)、姜敬愛(カンギョンエ)ら植民地朝鮮出身作家とその作品は、日本帝国の崩壊後、日本では忘却もしくは周縁化され、韓国と北朝鮮では対日協力と抵抗の二分法的論理に基づいて分類・評価されてきた。クォンは、これらの作品が――植民地期からポストコロニアル期にかけて――生産/翻訳/消費されるプロセスを徹底して追跡することによって、記憶の抹消や固定的な二分法を乗り越え、コロニアルな近代経験が孕む難問(コナンドラム)を明るみに出していく。」(訳者あとがきより)
内容説明
日本と朝鮮、戦時下における文化「協力」。“内鮮一体”の掛け声のもと一度は手を取り合いながら、戦後には否認された数々の経験と記憶。忘れ去られたその歴史を掘り起こし、「協力vs抵抗」では捉えきれない朝鮮人作家たちの微細な情動に目を凝らす。日本と朝鮮半島に共有された植民地近代という複雑な体験がもたらす難問に挑み、ポストコロニアル研究に新たな光を当てる画期作。
目次
第1章 植民地近代性と表象の難問
第2章 朝鮮文学を翻訳する
第3章 マイナー・ライター
第4章 光の中に
第5章 コロニアル・アブジェクト
第6章 コロニアル・キッチュを演じる
第7章 トランスコロニアルな座談会を盗み聞きする
第8章 地方への転回
第9章 満洲の記憶を忘却する
第10章 ポストコロニアリティの逆説
著者等紹介
クォン,ナヨン・エイミー[クォン,ナヨンエイミー] [Kwon,Nayoung Aimee]
デューク大学アジア中東研究学部准教授、同大アジア系アメリカ人とディアスポラ研究プログラムディレクター
永岡崇[ナガオカタカシ]
駒澤大学総合教育研究部講師。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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