内容説明
元警察官の辰司が、隅田川で死んだ。当初は事故と思われたが、側頭部に殴られた痕がみつかった。真面目で正義感溢れる辰司が、なぜ殺されたのか?息子の亮輔と幼馴染みで刑事の賢剛は、死の謎を追い、賢剛の父・智士の自殺とのつながりを疑うが…。隅田川で死んだふたり。そして、時代を揺るがした未解決誘拐事件の真相とは?辰司と智士、亮輔と賢剛、男たちの「絆」と「葛藤」を描く、儚くも哀しい、衝撃の長編ミステリー!
著者等紹介
貫井徳郎[ヌクイトクロウ]
1968年、東京都生まれ。早稲田大学商学部卒。93年、第4回鮎川哲也賞の最終候補となった『慟哭』でデビュー。2010年『乱反射』で第63回日本推理作家協会賞受賞、『後悔と真実の色』で第23回山本周五郎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ウッディ
301
元警察官であった辰司の死の真相を追う息子の亮輔と辰司に息子同然に育てられた賢剛は、今回の事件が30年前の賢剛の父智士の自殺に関係していることがわかってくる。下町に暮らす人々の価値観を変えたバブル期に起こった未解決の誘拐事件、この事件が起こった理由と犯人たちが背負った苦悩を描いた物語。犯した罪を背負って死んだ智士とそれを抱えて生きなければならなかった辰司、二人の子供たちが追う過去の真相という構成は読み応えがありましたが、過去の謎が解き明かされてからが冗長で、辰司の事件の真相があっけなかった印象でした。2020/10/02
Yunemo
261
重苦しく、切なく、悲しく、そして救いようもない。一体何を語っているのかな。昭和の時代を暗く反映させてます。今想えば、確かに存在したあの時代。辿ってみれば、バブル期の暗と明、明にばかりが焦点があてられた過去、暗の観点から始まる悲惨な物語。2組の父と子、互いの存在が妙に心に引っ掛かって。背景にある犯罪が、あまりにも大胆で稚拙で、それでいて成功してしまう様には、本作のベースではありながら、ちょっと違和感。推理から辿り着く顛末にも同様な。時を経て真実に辿り着くまでの、それぞれの立場での4人の葛藤は息苦しいばかり。2020/01/05
うっちー
256
気持ちはわかるが罪は罪2019/11/03
のりオバ
226
Amazonで出版日に予約購入📚 貫井先生の作品は、症候群時代から好きで、読みやすくて大体は読んでいるつもり・・・。で慣れているのではありますが、今回は暗く・・・重く・・・ツラく・・・登場人物ひとりひとりの気持ち、又は発言が読者にガッツリ伝わってきました。読み終わるまで旦那には、「おや今度は、随分苦しそうな顔で読んでるね」と見透かされてしまいました笑 久々の貫井先生の本、楽しかったです😺2019/09/12
R
221
エピローグを読みたい、読み終えて最初に抱いた感想でした。丁寧に、着実に、事件の真相に近づいていく内容は、決して派手ではなく、ミステリサスペンスなんだけども、じっくりとした物語を堪能できました。過去と現在の物語が交互に進んで、その真相が理解できたように思うのだけども、事実の積み上げと、イベントの消化みたいな印象が強くて、それだからこそ、ラストシーンのあと、約束されたときをとても見たいと思わされました。完結しているにも関わらず、その先を見たいとこんなに強く思った小説は初めてでした。2020/03/09