内容説明
ゴールデン街や区役所通りが近い、ここ“花園裏交番”は、配置人員と酒がらみのトラブルの多さから「裏ジャンボ交番」と呼ばれている。新米巡査・坂下浩介は、重森班長の下、ヤクザになったかつての恩師やビッグ・ママと恐れられる新宿署捜査一課の美人警部補に揉まれながら、欲望に忠実に生きる人間たちに対峙する―。
著者等紹介
香納諒一[カノウリョウイチ]
1963年、横浜生まれ。91年小説推理新人賞を受賞し、92年に小社刊『時よ夜の海に瞑れ』で長編デビュー。99年には『幻の女』で第52回日本推理作家協会賞を受賞し、正統派ハードボイルド、警察小説の書き手として第一線で活躍を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
180
香納 諒一は、新作中心に読んでいる作家です。新宿でもかなり渋い場所の交番が舞台の連作短編集、内容も結構地味でした。交番の巡査が主人公だと限界があります。2019/04/16
おしゃべりメガネ
119
久しぶりの香納さん作品です。とにかくハードボイルドでノワールなイメージの作者さんですが、そのイメージが災いしたのか、最後まで本作のちょっと軽めな雰囲気に馴染めませんでした。元高校球児の新米巡査「浩介」とその恩師「西沖」との関わりを歌舞伎町を舞台に描きます。ノワールな青春モノを狙っていたのかどうかはわかりませんが、やっぱりこの作者さんにはストレートなド直球のハードボイルドミステリーを書いてほしかったかなと。結局、ストーリーもキャラもどれもが中途半端な感じになってしまい、読了後も満足感は得られませんでした。2019/04/14
タイ子
66
香納さんにしたらちょっと軽めの作品。新宿花園神社裏にある通称「裏ジャンボ交番」に勤務する坂下巡査を中心に繰り広げられる様々な事件。多額の窃盗事件から殺人事件まで、坂下巡査が警邏用自転車で歌舞伎町界隈を走る。そんな中、懐かしい恩師の顔を見つけるがその男は今やヤクザ者。連作短編なので物語の都度その男は現れ、事件の関係者であったりと危ない橋を渡る興味深い存在。昔の恩師が何故ヤクザになったのか最後まで明かされていないのが気になるところ。帯の「ノワールな青春ってどうよ?」期待したほどそんなにノワールでもない気が…。2019/04/25
Makoto Yamamoto
52
初読みの作家。 新米と言っても警察官試験に通って、二年間民間会社にいた坂下巡査。 真っすぐで可愛げがある。 上司の重松、女性の深町警部補がいい味を出していると思う。四季が各章に名付けられていて季節感のある物語になっている。脇役?の西沖もいいし、飲み屋の二人の女性もいい。 事件解決の仕方は推理小説とはちょっと違うが、それもいいだろう。 続編で登場人物の成長、変化を期待。2022/09/11
さっこ
51
一般企業を退職して警視庁に入庁した新米巡査。新宿で起きるちょっとした揉め事が殺人事件につながって…といった連作短編集。香納さんにしては軽めのサクッとした作品でした。高校の時の恩師の謎みたいなものも明らかにされずに終わっているので、シリーズ化されるのかな。2019/05/11