内容説明
廃業した元関脇がひっそりと江戸に戻ってきた。かつて土俵の鬼と呼ばれ、大関昇進を目前にした人気者だったが、やくざとの喧嘩のとばっちりで江戸払いとされたのだ。十五年後、離ればなれとなっていた妻や娘に会いに来たのだった。一方、“算盤侍”唐木市兵衛は、御徒組旗本のお勝手たてなおしを依頼された。主は借金に対して、自分の都合ばかりをくましたてるが…。
著者等紹介
辻堂魁[ツジドウカイ]
1948年、高知県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、出版社勤務を経て執筆業に入る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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とし
115
風の市兵衛「秋しぐれ」16巻。喜楽亭のいつものメンバーもたいしてからまず、兄の片岡信正も弥陀ノ介は登場もせず、市兵衛さん算盤は使うが風の剣が少しだけ、ちょと消化不良で~す、算盤勘定もマイナス収支だったのでは。 2016/06/16
めぐ
65
お!久しぶりの算術仕事!と思いきや、やっぱりチャンバラだった。前回は弥陀ノ介で、今回は鬼渋が登場したのは嬉しかった。この2人は好きだからコンスタントに顔を出して欲しい。過去を悔やむ関取の鬼一の生き様が苦しくてたまらなかった。関取は相撲しか出来ないし、相撲を取ることによって生かされたのかもしれない。お秀も我慢して生きるのが身についてしまったのだろうな。お秀には慎ましくても家族と一緒に笑いながら暮らして欲しい。家族に「おかえりなさい」と言えるような当たり前の暮らしだけで良い。そして3人でお墓参りをして欲しい。2021/06/27
のびすけ
30
今回の市兵衛さんの仕事は、御徒組旗本・竹崎家の借金のかけ合い。市兵衛の算盤勘定と交渉の手腕が冴える。市兵衛が竹崎家の仕事を進めるうち、かつてやくざとの喧嘩で江戸払いになった元江戸相撲の関脇「鬼一」とその娘お秀の存在が大きく関わってくる。毎回色んな一面を見せてくれる市兵衛さんだけど、今回は元力士と相撲を取る市兵衛に驚き!鬼一とお秀のお互いの想い、本音を伝えられない不器用さがとても切なかった。満身創痍の鬼一と又右衛門の真剣勝負。最後に又右衛門が見せた男気には感動した。鬼一へ送る甚句に涙が溢れた。面白かった!!2021/12/09
ベルるるる
28
シリーズ16作目。最近、ちょっと中だるみ感があったけど、今作は素晴らしかった。 前半は、算盤侍として市兵衛はパチパチと算盤をはじいて、お金の損得勘定をする。後半は、市兵衛の風の剣が舞う。人生を小さなきっかけで狂わせ、家族の人生も狂わせ、娘には許さないと言われてしまう哀れな年老いた相撲取りの男。それでも男は娘の為に命をかける。市兵衛の剣もこの哀れな悲しい男の命を救う事はできない。相撲甚句に涙。2016/04/04
み
27
さくさくと♪久しぶりの市兵衛さん、お兄さんが登場せず、ちと残念(>_<)剣とも算術ともなお話しでしたが楽しめました。この頃、栄三さんを読んでるからか、空気が重たかった…。2016/03/24