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内容説明
力なき者がそれでも生きつづけるための「悪意と戦略」。迂回、先回り、横道の探索―画家のぎりぎりの闘いの痕跡を追いかけた「批評家」が、私たちに宛てた/仕掛けた最期の「手紙」。
目次
1 クレー作品に対抗する為の脈絡なき幾つかの精神史的準備運動(クレーからのメッセージ;クレー観の修正;表象の地獄あるいは無限に自己参照するユートピア;十七世紀の表象から十九世紀の表象を逆照射してみる。;十七世紀の表象の特異性からクレーへ;改めて『ラス・メニーナス』を「観る」、ただし斜に構えて。;『紀元前五五年、ある極めてささやかな自身』―あるいはマックス・エルンスト試論のためのごくささやかな覚え書き;ピカソ・デ・コンストラクション;クレーをめぐる三つの旅)
2 「中間領域」に参入するための脈絡なき幾つかのルポルタージュ(冥界の天使たち―上と下;踏み越えるもの―「むこう」と「こちら」;庭の修辞学―自然と人工のスパイラル・ゲーム;描かれたテクスト―文字と画像の戦略的考古学;どっちつかずのものたち―四大とその住人たち;境界線上のモニュメント―生と死の狭間で)
著者等紹介
宮下誠[ミヤシタマコト]
1961年東京都生まれ。専門は西洋近代美術史。バーゼル大学博士、早稲田大学大学院博士後期課程単位取得退学。別府大学助教授を経て2000年より國學院大學文學部助教授、2006年より同教授。2009年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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常磐条(ときわとおる)
2
人間は心を持って考える生き物だから、純粋な優しさで引かれた線の軌跡にも意図は込められてしまう。それを純粋だ、優しさだと決めつけてしまうことは、確かに非常に危ういことですね。線を描けばこちらとあちらがうまれ、その隙間から天使が顔を出す。その痛みに耐えられずに人は傷口を縫い、傷跡はときに美しさの形と認められながら時代を超えて社会に刻み込まれる。建築は凍った音楽、という言葉があるらしい。とすれば絵画は何の結晶なのか、、、いずれにせよ、人間が矛盾から生んだ作品とはやはり矛盾をくぐって向かい合うべきなんだと思う。2013/09/07
Y
1
不安定。不確実。境界。2016/03/26
いなお
1
クレー好きなのははまあすごい伝わってくるんだけれどもひとりよがりな感じが読んでいてちょっとキツイなと思った。書くべきを書かずにどうでもいいことばかり書いていた印象が残った。著者の過去の著作の(クレーとは関係のない、カラヤンについての)弁明めいた、批判者への批判を序章にかいているところとかはほんとうに無粋だと思った。ほんとうに、本当に無粋な本だった。2012/02/03
kotora
0
終焉2017/02/26