内容説明
グールドは、なぜバッハの『ゴルトベルク変奏曲』を2度録音し、なぜ、演奏会を否定し、電子メディアに未来を夢想したのか―。それを解く鍵は、荒寥と広がる北米の後背地「カナダ」にあった。グールドの忘れられたエッセイ「親友の言葉」を世界初収録。
目次
第1章 メディア論―聴き手とは誰か(演奏会活動の引退に向けて;電子時代の音楽論―一九六四年;「録音の将来」をめぐって―ラジオ番組と雑誌論文 ほか)
第2章 演奏論―“ゴルトベルク変奏曲”をめぐって(グレン・グールドの誕生;グールドにとってのバッハ;システムへの憧れ)
第3章 アイデンティティ論―グールドはなぜカナダ人なのか(「カナダ的なるもの」という問い;戯曲『グレン・グールド最後の旅』;アトウッドのサヴァイヴァル論 ほか)
著者等紹介
宮沢淳一[ミヤザワジュンイチ]
1963年群馬県生まれ。1986年青山学院大学国際政治経済学部(国際政治学科)卒業、1988年早稲田大学第一文学部(文学科ロシア文学専修)卒業。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了、博士課程単位取得。早稲田大学文学部助手、同講師、トロント大学客員教授(外務省「日加平和友好交流計画」派遣)等を経て、法政大学・慶應義塾大学・青山学院大学・武蔵野音楽大学ほか講師。文学研究・音楽学・メディア論・文献表記法。カナダ研究・ロシア研究。第1回グレン・グールド財団栄誉賞(トロント、1999年)受賞
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