出版社内容情報
前衛精神を持して未聴の音楽を志向する作曲家と、音響宇宙の深奥に独自の死生観を貫く作曲家とのエキサイティングな対話篇。
目次
第1章 創造とコスモロジー―宇宙観・自然観・宗教観
第2章 実験工房のころ
第3章 作曲技法について―音楽的思考の射程
第4章 時代と環境の風景―戦後社会の中で
第5章 創作の風土―日本的なものをめぐる対話
第6章 内宇宙への旅
第7章 メディアと音楽思考
第8章 命の交感―演奏家との協働
第9章 二〇世紀、現代作曲家がゆく
著者等紹介
湯浅譲二[ユアサジョウジ]
1929年、福島県郡山市生まれ。作曲家
西村朗[ニシムラアキラ]
1953年、大阪府大阪市生まれ。作曲家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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美東
1
情念(西村朗)と想念(湯浅譲二)の対立軸が鮮明で読みごたえがあった。両者には短歌と俳句くらいの芸術観の相異がある。2019/01/03
横丁の隠居
1
あとがきにもあるが、ここで湯浅さんも西村さんも相当踏み込んで作曲という作業の具体的なことを述べている。普通は、突っ込まれるのもいやだし、バカにされるのもいやだから、あいまいにしか言わないことを、これだけ語ってしまうというのもお二人の自信の表れかもしれない。次のくだりが印象に残る。…湯浅「僕がいいという音楽は絶対いいはずで、つまらないのは本当につまらないというぐらいの自信があります…その僕が聴いていいと思う音楽を僕は書きたいと思っているんです」西村「それこそベートーヴェン的です」2018/06/25
ri4ee
1
実験工房時代のエピソード、戦後前衛作曲家への評価あたりはそこそこ面白かったが、あとは特に。両者それぞれの見知った音楽観が開陳されつづける、どちらかといえば軽い感じの対談録だった。それにしても刺激に欠ける。全体的に禅とか宇宙とか雅楽の時間とか深そうな話が出てくるがオリジナルなものはほとんどないだろう。結局この両者の創作はどこが新しかったんだろうかと、読み終えて思わずにはいられなかった。2015/06/12