内容説明
ブラームス・19歳、ヨアヒム・21歳、ワーグナー・39歳、リスト・41歳、シューマン・42歳、ベルリオーズ・49歳…幾重もの出会いが織りなす、奇跡のような一年の物語。旅の記録、交した手紙、日記、雑誌や新聞の記事、当時の写真や絵画など、膨大な資料から浮かび上がる偉大な音楽家たちの1853年の姿。
目次
ブラームスの旅立ち
再起をかけて
宮廷楽長フランツ・リスト
亡命者ワーグナー
新音楽の胎動
大学に憩い、ラインの川辺を歩く
保養地にて
“楽劇”が動き出す
カールスルーエ音楽祭
「新しい道」〔ほか〕
著者等紹介
マクドナルド,ヒュー[マクドナルド,ヒュー] [Macdonald,Hugh]
イギリス出身。セントルイス・ワシントン大学名誉教授(音楽)。これまでケンブリッジ大学、オックスフォード大学で教えたのち、グラスゴー大学とセントルイス・ワシントン大学で教授を務める。スクリャービンやベルリオーズに関する著作がある
森内薫[モリウチカオル]
翻訳家。上智大学外国語学部フランス語学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
75
1853年、ハンブルクから音楽の才能に満ち溢れながらもまだ、注目されていなかった青年が旅立った。彼の名はブラムース。音楽が新たな局面へ動き出す、目紛しい約10ヶ月を描いた作品。次々と飛び出る人間関係の細やかさや音楽事情を必死に捉えながらもヨヒアムとの友情、憧れのリストからの駄目出し、短い交流だったがブラムースを世に送り出した影の功労者のレメーニへの労りが興味深い。それにしてもワーグナーって自分を語る時が一番、エンターティナーとして向いていたんじゃないかしら。後、ブラムースって若い頃は美青年だったのね!2018/08/23
あんさん
2
馬車や夜汽車での移動をものともしない、音楽家たちの身体の丈夫さがうらやましい。特にリスト、ベルリオーズ、ヨアヒム。クララシューマンは妊娠3-4ヶ月で過密な演奏旅行をしている。観客からの称賛が音楽家のエネルギー源であり、音楽家には演奏する場所が必要なのだ。2020/03/29
もと
2
1853年のブラームスの肖像は竹宮恵子の「変奏曲」第2部のニーノのモデルでは? なんて思ってしまった。2018/05/11
tacosamba
0
1853年のヨーロッパの一流音楽家たちにスポットを当てたなかなか面白い試みの伝記。主人公は主にブラームス、ヨアヒム、シューマン、リスト、ベルリオーズ、ワーグナーなどの超一流作曲家。大変強烈な個を持っている人たちの間にこんなにも心温まる交流があったことに結構驚いた。若いブラームスはやっと世に名前が出た年。リストは世話焼きで大量の弟子を引き連れて歩いている。ベルリオーズは下り坂を真っ逆さまに転がり落ちてる感。ワーグナーは亡命先でニーベルングを書き始める頃。それぞれ強烈なストーリーがある。2018/10/06