モーツァルト最後の四年―栄光への門出

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  • サイズ B6判/ページ数 249,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784393932001
  • NDC分類 762.346
  • Cコード C0073

出版社内容情報

天才の早すぎた晩年は不遇だったという俗説を完全に否定。宮廷作曲家の任命を受けて野心的な挑戦を始めていたという刺激的な新解釈。

第一線の音楽学者C. ヴォルフの新作を礒山雅が翻訳。不遇で貧窮のうちに亡くなったという俗説を完全に否定し、宮廷作曲家に任命された最後の4年間、前途洋々の未来に向けて野心的な創作を続けていたことを資料から実証。大きな反響を呼んだ、刺激的な新解釈。

【著者紹介】
1940年、ドイツ生まれ。米ハーヴァード大学(マサチューセッツ州ケンブリッジ)音楽学主任教授、独フライブルク大学名誉教授、ライプツィヒ・バッハ・アルヒーフ所長。ベルリン、フライブルク、エアランゲン(1966年に博士号取得)で学んだ後、エアランゲン、トロント、ニューヨーク・プリンストンで教鞭を執り、1976年にハーヴァード大学着任。同大学で音楽学部長、図書館長代理、1992-2000年には芸術・科学大学院学部長を務める。アメリカ芸術科学アカデミー、アメリカ哲学学会、ライプツィヒ・ザクセン学術アカデミー、ザルツブルク・モーツァルテウム・モーツァルト研究アカデミー各会員、パッカード・ヒューマニティース・インスティテュート(カリフォルニア)理事。多くの学術賞を受賞しており、そのうちにはいくつかの名誉博士号、ロンドン王立音楽協会デント・メダル(1978年)、フンボルト研究賞(1996年)、ドイツ連邦功労賞連邦功労十字章(2001年)、王立音楽アカデミー・バッハ賞(2004年)がある。主著に『ヨハン・ゼバスティアン・バッハ―学識ある音楽家』(2000年)など。

内容説明

「晩年」の作品群は、現世への惜別の辞か?飽くなき創造の新たな一歩か?

目次

プロローグ モーツァルト、一七八八~一七九一―避けがたい終焉か、新しい始まりか
第1章 宮廷への任命―モーツァルトとサリエーリ
第2章 外の世界の探索
第3章 あくなき大志―作曲の地平を拡大する
第4章 「真のオペラ」と“魔笛”
第5章 「崇高悲愴様式による教会音楽」と“レクイエム”
第6章 「作曲しましたが、まだ書き下ろしていません」―ついに聴かれることのなかった音楽

著者等紹介

ヴォルフ,クリストフ[ヴォルフ,クリストフ] [Wolff,Christoph]
1940年、ドイツ生まれ。エアランゲン大学で博士号取得。1987年から米ハーバード大学で教鞭を執り、教授、学部長等を経て、同大学名誉教授(Professor emeritus)。フライブルク大学、ニューヨーク・ジュリアード音楽院からも名誉教授の称号を得ている。2004年から13年まで国際音楽資料目録(RISM)総裁、現名誉総裁。バッハ研究の最高権威として知られ、2001年から13年までバッハ・アルヒーラ・ライプツィヒ所長

礒山雅[イソヤマタダシ]
1946年、東京生まれ。東京大学、同大学院で美学芸術学を専攻。国立音楽大学で教鞭を執り、現在同大学招聘教授、名誉教授、大阪音楽大学客員教授。2007年から12年まで日本音楽学会会長、2015年から藝術学関連学会連合会長。いずみホール音楽ディレクター、日本ワーグナー協会、サントリー芸術財団理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はまななゆみ

15
モーツァルトの人生の最後の4年、数々の名曲をものすごいペースで残した4年に焦点を絞っていて、天才たる人の人生模様が興味深かったです。 「まず頭の中で音楽が組み立てられ、しかるのちに書き下ろされる」という感覚は想像がつかない。天才がゆえの感覚なんでしょうね。2016/03/15

もよ

8
内容的には固い本だが、興味深く読みました。ハイドンセットや最後の交響曲の3曲、魔笛やレクイエムがどのような背景に生まれたのか、そして「書きかけ」の作品も含め、モーツァルトがさらに未来に向かっていたことを示してくれます。 訳書の題で字が小さくなっている「栄光への門出」が原題により近い。2016/11/20

trazom

3
モーツァルト最後の四年間に絞っての分析である。金銭トラブルや不健康のなかで、失意と苦難と苛立ちに苛まれたという通説を覆す主張は新鮮である。従来、それが失意の原因とされてきた宮廷作曲家と大聖堂楽長補佐職の就任を、モーツァルトにとっての宿願の成就であり、意欲ある前進の出発点だったとして積極的に評価しようとするヴォルフ博士の見解は驚きだ。確かに、モーツァルトが最後に到達した高みを、諦念や失意から説明するのではなく、もっと前向きな感情の発露として解釈した方が、彼の音楽の積極的な評価に繋がるのは事実である。2016/10/20

kazutox

1
晩年のモーツァルトは、貧困に苦しみ死の予感の元で作曲していた……わけではなく、宮廷作曲家(貴賓室作曲家)の地位を手に入れ収入が安定し、さらなる名声を求めて精力的に計画的に作曲してた、という話です。 筆者の説が正しいとすると、既存のモーツァルト本はほとんどすべて間違い、ということになってしまうんですが、どうすんでしょ。2021/12/30

yes5&3

1
再読。バッハ研究者がモーツァルトを客観的に記述。無邪気な天才ではない、悲惨な晩年でもない。墺土戦争によって皇帝貴族の支援が減って借金に苦しんだ、病気に苦しみながらレクイエムを書きつつ死んだ、これらは事実だろう。あらゆるジャンルに自分の天才を自覚しその使命感で挑戦し続けた最後の四年間。全て教えたはずの父レオポルドの理解を超えた領域に入っていたというエピソード「(全部)作曲しましたがまだ書き下していません」P204が印象的。2019/06/02

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