内容説明
ヒトが「進化」的に「学習」しやすい条件とは?進化のしくみにもとづいた、より効果的で深い学習が起こるためのヒント。
目次
プロローグ 動物行動学で「学習」の理論を統一する
第1部 動物の学習、ヒトの学習(ヒト以外の動物は、どう学習するか;ヒトはどう学習するか;進化の視点から見た「学習しやすい状況」とは)
第2部 科学的知識は、どうすれば身につくか(ヒトの脳の情報処理構造としての“課題専用モジュール構造”;課題専用モジュールと「科学的思考・科学的知見」のミスマッチ;課題専用モジュールによる理解と科学的理解を、どのように結びつけるか)
エピローグ 現代人の精神活動は狩猟採集時代に適応しているのか?
著者等紹介
小林朋道[コバヤシトモミチ]
1958年岡山県生まれ。岡山大学理学部生物学科卒業。京都大学で理学博士取得。岡山県で高等学校に勤務後、2001年鳥取環境大学講師、2005年教授。2015年より公立鳥取環境大学に名称変更。2016年から環境学部長。専門は動物行動学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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こばやしこばやし
7
『先生、』シリーズの小林朋道さんの著作。動物行動学の研究成果を活かせば、より効率的に学習成果を挙げられるのでは無いか?と言うことを、最新の知見と著者の経験・実験に基づいて述べられている。脳内に「課題専用モジュール」が複数あるという考え方は刺激的だった。あらゆる課題に対応出来るような脳構造より、ケースバイケースでモジュールを機能させる方が効率が良いし、行動経済学で指摘するような人間のミスも成立する。モジュール機能に働きかけるのは、学習にも有効だが、人間として活きていく限り効果的だろうなあと思った。
a
2
人間の学習と動物の学習が書いてありよかった。2020/06/10
maimai
2
本来出典や実験系を明示すべきこと(ヒトの脳の構造や機能、脳の性差など)について出典を示していない。また、脳の性差の議論を始め様々な箇所で、考察不足の断定的な書き方が目立った。(男性と女性での実験結果の違いをジェンダーの影響について議論せずに、遺伝的な違いだとするなど) 総じて、議論が粗雑な印象を受けた。2018/03/14
Go Extreme
1
動物行動学で学習の理論を統一:学習の羅針盤 動物行動学 進化適応的意味 究極的要因 学習の2つのタイプ 進化教育学 ヒト以外の動物の学習:味覚嫌悪 準備された学習=専用の神経回路をもつ学習 ヘビに対する恐怖感 死を怖がるサルいない ヒトの学習:命に関わる→関心↑ 脳は病気に注目 生存・繁殖に有利な遺伝子 学習しやすい状況:ミラーニューロ 心+ビジュアル表現 関心と記憶 課題専用モジュール構造 科学的思考・科学的知見のミスマッチ 理解と科学的解釈の結びつけ 現代人の精神活動は狩猟採取時代に適応しているのか2021/02/27
私的読書メモ3328
1
とても興味深い本でした。著者の専門である動物行動学を語りつつ、その見地からの人間の学習能力とそれを元にした教育について語られています。やや概論に偏っている印象で本質的な部分を理解するのは難解に感じましたが、それを差し引いても面白いです。2020/10/15