出版社内容情報
自然科学と社会科学の方法論の差異と19世紀フランスにおけるその混乱を考察した「社会科学方法論」の最高傑作が待望の新訳で甦る。
内容説明
「社会科学」には何ができて、できないのか?自然科学との混同に警鐘を鳴らした“社会科学方法論”の最高傑作が待望の‘新訳’でよみがえる。
目次
第1部 科学主義と社会の研究(社会科学にたいする自然科学の影響;自然科学の問題と方法;社会科学のデータの主観的な性格;社会科学の個人主義的かつ「合成的」方法;科学主義的アプローチの客観主義;科学主義的アプローチの集合主義;科学主義的アプローチの歴史主義;「合目的的な」社会的形成物;「意識的な」指導と理性の成長;工学者と計画者)
第2部 科学による反革命(科学主義的傲慢の源泉―エコール・ポリテクニク;「思想の産婆役」―アンリ・ド・サン=シモン;社会物理学―サン=シモンとコント;工学者たちの宗教―アンファンタンとサン=シモン主義者たち;サン=シモン主義の影響;社会学―コントとその後継者たち)
第3部 コントとヘーゲル
著者等紹介
渡辺幹雄[ワタナベミキオ]
1967年生まれ。山口大学経済学部教授。専門は政治理論、政治思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バビレマ黄色い手
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社会的研究の方法に科学を機械的かつ無批判に適用する「科学主義」の誤謬を指摘することを通じて、当時隆盛であったマルクス主義を批判する。個々人の行動の意図せざる結果から成る「自生的な社会的形成物」は、それ全体を所与の事実として捉えるのではなく、個人の行動という諸要素から全体を構成する説明がなされなければならない。ハイエクは何らかの意図をもって社会を設計しようとする態度そのものを否定しているが、ハイエクとケインズの論争に代表されるように、社会における自由や平等といった問題は如何ともしがたい難しさがある。2016/11/07