出版社内容情報
従来の宗教的良寛像を払拭し、純粋な芸術的営為のありようを照射する試み。書の造形的先駆性と詩人としての近代的表現者の真骨頂。
宗教を主とし、芸術を従とみなすこれまでの良寛像を根底から見直した労作。良寛の芸術家としての究極の価値は書作品にある。その造形的才能と詩人・思想家としての資質が書においてどのような輝きを発しているのか。美術史家ならではの着眼が冴え渡る。
【著者紹介】
1940年、新潟県長岡市に生まれる。1963年、東京芸術大学美術学部芸術学科卒業。1965年、同大学院修士課程修了、東京芸大付属芸術資料館(現大学美術館)に勤務(-1974年)。1968年、フランス政府給費留学生としてエコール・デュ・ルーヴルで博物館学研修を受ける。1982-1987年、横浜市美術館開設準備室勤務。2002年、東京芸大美術館教授、2008年退任、名誉教授。2012年、『ゴッホ 契約の兄弟』で吉田秀和賞受賞。
内容説明
良寛の書はなぜ美しいのか。従来の宗教的良寛像を根底から見直し、純粋な芸術的営為のありようを照射。その造形的天分と詩的思想的資質の絶妙な融合を読み解く。
目次
良寛の書はどうしてこんなにも美しいのか
芸術家良寛出現の歴史的背景―天領出雲崎の特殊性
出雲崎における文学的風土
父以南の肖像
少年時代―子陽塾を辞すまで
青年時代―文人への憧れ
禅林修行―円通寺時代
還郷―文学的人生の始まり
故郷での生活の始まり―不定住時代
成熟―五合庵定住時代
創作と研鑽の日々―乙子神社脇草庵時代
芸術的集大成の境地―島崎村木村家時代
近代文学における良寛の影響
良寛―思想的多面体
著者等紹介
新関公子[ニイゼキキミコ]
1940年、新潟県長岡市生れ。旧姓杉本。県立柏崎高等学校卒。東京藝術大学美術学部芸術学科入学。西洋美術史を専攻、同科大学院修士課程を修了。すぐに同大学付属芸術資料館(大学美術館の前身)に勤務、9年間在籍の後退職。以後、都留文科大学、横浜美術大学などの非常勤講師をしながら研究著述活動。2002年、東京藝術大学大学美術館教授に就任。2008年、退職。同大名誉教授となる。2011年出版の『ゴッホ 契約の兄弟』(ブリュッケ)で吉田秀和賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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