内容説明
有名句から知られざる秀句まで、華やかで、心にしみる、名句鑑賞。
目次
秋の航一大紺円盤の中(中村草田男)
恋ともちがふ紅葉の岸をともにして(飯島晴子)
しぐるゝや駅に西口東口(安住敦)
陽の裏の光いづこへ浮寝鳥(高山れおな)
冬菊のまとふはおのがひかりのみ(水原秋櫻子)
冬のバッハ無伴奏だいこんおろし(中西ひろ美)
隙間風その数条を熟知せり(相生垣瓜人)
ゆきふるといひしばかりの人しづか(室生犀星)
老人に十種類あり年の暮(岩下四十雀)
毛布より片眉出でし未来かな(今井聖)〔ほか〕
著者等紹介
正木ゆう子[マサキユウコ]
本名、笠原ゆう子。1952年(昭和27)熊本市生まれ。お茶の水女子大学卒業。1973年より能村登四郎に師事。俳論集『起きて、立って、服を着ること』(深夜叢書社)で第14回俳人協会評論賞受賞、句集『静かな水』で第53回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。現在、読売俳壇選者、熊本日日新聞俳壇選者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さたん・さたーん・さーたん
5
俳人である著者が一頁ずつ一句を簡潔に取り上げる。生活の中で、見落としてしまいそうなくらいほろほろと脆い、だけど誰もがいつか何かしら見覚えのある一瞬_それを大事に大事に掬い上げ、つやつやと磨いた言葉で留めたものが俳句だと気づく。自分の身ほとりにあって支えてくれる存在として、愛称句をノートに綴るよう薦める著者だが、キリがないので丸ごと本棚に並べて好きな時引き出したい。ところで「思ふところ水につながりゆく良夜 村越化石」は、つらつらと思い出されることは水のように途切れず溢れてくるばかり、と自分は読んだ。2020/01/31
sayuspi
1
ハッとさせられる句が多かった。句にハッとして、解説を読み、深く考える。という流れが心地よい一冊。句を咀嚼していく感覚が好きでした。佳い句にたくさん触れたいので、こういう実作者が選句した本は積極的に読んでいきたいです。2017/11/12