出版社内容情報
天をゆく翼に母の存在を重ね、震災を境に変容した世界を前にありのままをさらけだす。森羅万象への直感が鮮やかに紡ぎだす第五句集。はは、掃き清める大きなつばさ。句集『夏至』以降の作品より、日常をはじめ、ふるさと熊本の句まで約300句を厳選。風の香り、水の流れ、星の輝きに宇宙の鼓動を聴く研ぎ澄まされた感覚、人類の未来を想う感性、生きとし生けるものへの眼差しがとらえる神秘と感動。森羅万象への直感が鮮やかに紡ぎだす第五句集。
正木 ゆう子[マサキユウコ]
1952年熊本市生まれ。お茶の水女子大学卒業。1973年より能村登四郎に師事。現在、読売俳壇選者、及び熊本日日新聞俳壇選者。第三句集『静かな水』(春秋社)で第53回芸術選奨文部科学大臣賞受賞。2016年4月よりEテレ(NHK教育TV)《NHK俳句》選者。
目次
虹を呼ぶ
青鷺
兎年
真炎天
羽羽
大河
質量
草の花
冤霊
木の実
ふるさと
天つ水
日常
白樺峠
無量
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
12
第51回蛇笏賞受賞作。句集『夏至』以降の作品より、日常をはじめ、ふるさと熊本の句まで約300句を厳選。風の香り、水の流れ、星の輝きに宇宙の鼓動を聴く研ぎ澄まされた感覚、人類の未来を想う感性、生きとし生けるものへの眼差しがとらえる神秘と感動。森羅万象への直感が鮮やかに紡ぎだす第五句集。2024/03/05
せっか
2
わからない言葉が結構あり調べました。「まつすぐに来る螢火に道ゆづる」「こはれさうにこはれず浅黄斑蝶とぶ」「つかみたる雛(ひよこ)に芯のありて春」「本を読む手首に脈の見えて秋」2021/05/10
豆ぐみ
2
2016年、春秋社。著者の第5句集、平成21~27年の発表句から約300句。〈寄居虫の小粒よ耳に飼へさうに〉〈降る雪の無量のひとつひとつ見ゆ〉などなど。この句集も好きな句が多くたくさん付箋をつけた。鷹も草木も天体も近しそうだ。2016/11/24
丘の家
0
普段は句集なんて読まない自分がこの本に手を伸ばすのだから春とは不思議なものだ。しかし俳句を読み慣れていない自分には読めない漢字が多すぎて困った。以下、自分が気に入ったもの。〈母あれば 父あるごとく 青簾〉〈飛ぶ鳥の 糞(まり)にも水輪 春の湖〉〈まっすぐに 来る蛍火に 道ゆづる〉〈馬に春風 その鬣を 編みたしよ〉一番よかったのは、なんといっても〈飛ぶ鳥の~〉の一句。春のぬくい水や柔らかな光、甘い風、動きだした生き物たちの喜び、そういったものが感じられて、とてもよかった。暗記しておく。2021/04/21