出版社内容情報
身体にも心理にも還元されえない“人間精神”の本質を論じた「意味への意志」「時間と責任」「ロゴスと実存」「科学の多元論と人間の統一性」の4つの重要論文を収録。
内容説明
人間とは意味を求める存在である。身体にも心理にも還元されない人間精神の本質を論じた「意味への意志」「時間と責任」「ロゴスと実存」「科学の多元論と人間の統一性」の4論考を収録。
目次
1 意味への意志
2 時間と責任(現存在の意味への問い;現存在の移ろいやすさ;実存は分析できるか;宗教的人間の実存分析;医師による心の癒しと聖職者による心の癒し)
3 ロゴスと実存(実存分析と現代の諸問題;人格についての十命題;精神療法について)
4 科学の多元論と人間の統一性
著者等紹介
フランクル,ヴィクトール・E.[フランクル,ヴィクトールE.][Frankl,Viktor E.]
1905年ウィーン生まれ。フロイト、アドラーの影響を受け、精神科医となる。第二次大戦下、ナチスによって強制収容所に送られ、妻を始め家族の多くを失う。その後精神療法医として独自の「ロゴセラピー」を展開、ウィーン・ポリテクニック神経科部長、ウィーン大学教授、合衆国国際大学特別教授などを歴任。1997年没
山田邦男[ヤマダクニオ]
1941年、大阪に生まれる。京都大学教育学部博士課程中退。現在、大阪府立大学総合科学部教授。人間学・人間形成論専攻
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NICKNAME
23
夜と霧の著者ヴィクトール・フランクル氏による著書三冊目了読。彼が行った講演を元にしたものであり、一般の我々が読むには少々難しかったと思う。しかし地道に読んでゆくと、彼の思想の根本的な所はしっかりと理解できたと思う。基本的に大事な点は過去に読んだ二冊と同じことを言っているのですが、彼の思想は断片的視点にとらわれず、常に物事の全体像を把握しようというとしているものなので包容性と説得力が感じられるのでしょう。ところどころにとても分かり易く的確な名文章があったので再読時が楽しみです。2019/01/21
テツ
15
大戦中の収容所で家族を失い生き延びたフランクルだからこそ人生の意味を問い続ける言葉が説得力をもつ。人生は始まりから終わりまで答えが出せない、出しようのない「何故?」の繰り返しであるのに、そうした在り方の中でも人は全ての事柄に(勿論自分の存在についても)意味を見出さなければ不安で仕方がない生き物であるということ。他人の存在理由も存在意義も知ったことではない。ぼくはぼくの、あなたはあなたの存在する意味を自らの意思によって探し出し構築していかなければならない。2021/10/29
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
13
再読なんだけど、特に第二章がチンプンカンプンだった。最初読んだ時よく読み通せたなと思う。そうではあるけど、結構内容に影響を受けていたかもしれない。フランクルは今後もっと色々と読んでゆきたい。2023/08/06
y_nagaura
6
人付き合いを考えるうえで参考にするため読了。2019/10/11
マウンテンゴリラ
5
哲学的、心理学的な議論としては、比較的分かりやすく、なおかつ心打たれる内容であったと感じた。同時に、過酷な運命を生き抜き、その現実、それがもたらす意味について考え続けた著者ならではの精神の強さも感じさせられた。人間とは、意味を問い続ける唯一の動物であるというのは、まさにその通りと思えるが、一方、自分自身のことを考えると、そのような存在に叶う生き方をしているだろうかと恥ずかしい気持ちにもなった。自己弁護をするわけではないが、人間とはかように現実から逃れようとする弱い存在でもあるのではないか。→(2)2018/10/09