内容説明
文学や映画、写真、音楽などによって、作品世界と紐づけられて生成・変容する“都市”のイメージをさぐる。「運河の町」小樽、「理想郷」だった「廃墟」軍艦島、「音楽の都」ウィーン…“都市”と“物語”のあわいに生じた文化のありようを描き出す全5章。
目次
序章 「作品世界」と「現実世界」の虚実―「コンテンツツーリズム」全盛の時代に
第1章 「文学散歩」ガイドブックのひらく世界―「作品世界」と「現実世界」をつなぐもの 本郷・無縁坂
第2章 「ロケ地巡り」が掘り起こしたもの―近代建築の保存活動からまちづくりへ 小樽
第3章 「廃墟」が「産業遺産」になるまで―写真集と映像をとりまく言説を読み解く 長崎・軍艦島
第4章 継承される東ドイツの記憶―東西ドイツ統合期に映画の果たした役割 ベルリン
第5章 「音楽の都」のつくりかた―装置としての音楽散歩 ウィーン
著者等紹介
渡辺裕[ワタナベヒロシ]
1953年千葉県生。83年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程(美学芸術学)単位取得退学。玉川大学助教授、大阪大学助教授などを経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授(美学芸術学、文化資源学)。2019年4月より東京音楽大学教授(音楽文化教育専攻)。著書『聴衆の誕生―ポストモダン時代の音楽文化』(春秋社、サントリー学芸賞、のち中公文庫)『文化史のなかのマーラー』(筑摩書房、岩波現代文庫(『マーラーと世紀末ウィーン』と改題))『音楽機械劇場』(新書館)『宝塚歌劇の変容と日本近代』(新書館)『西洋音楽演奏史論序説―ベートーヴェン ピアノ・ソナタの演奏史研究』(春秋社)『日本文化 モダン・ラプソディ』(春秋社、芸術選奨文部科学大臣新人賞)『考える耳―記憶の場、批評の眼』(春秋社)『考える耳(再論)―音楽は社会を映す』(春秋社)『歌う国民―唱歌・校歌・うたごえ』(中公新書、芸術選奨文部科学大臣賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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