出版社内容情報
文化資源学とは何か。その学的方法たる聴覚文化論とメディア論が交差する斬新な社会批評の地平。ゆたかな文化観を構築する試み。
【著者紹介】
1953年、千葉県生まれ。83年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程(美学芸術学)単位取得退学。大阪大学助教授を経て、現在、東京大学大学院人文社会系研究科教授(美学芸術学、文化資源学)。『聴衆の誕生』『西洋音楽演奏史論序説』『日本文化 モダン・ラプソディ』(以上、春秋社)、『歌う国民』)(中公新書)、他多数。
内容説明
寮歌・チンドン・民謡等の保存と伝承、「語り」のレコード、ソノシート、鉄道のサウンドスケープ…。多彩な「音の文化」のありようをダイナミックに読み解く。既成の文化観・価値観を問い直す試み。
目次
総論 「文化」としての音を考えるために―文化資源、聴覚文化、メディア(「ある」音楽から「なる」音楽へ;「音楽」から「文化資源」へ;「サウンドスケープ」から「聴覚文化」へ)
1 伝承と保存の力学(“都ぞ弥生”の「戦後史」―交錯する複数の「正統性」;「土着化」のもう一つの顔―ジンタとチンドンの「再発見」をめぐる言説)
2 民謡の文化資源学(「正調」とはなにか?―“江差追分”の歴史にみる民謡の「正統性」をめぐる力学;「民謡の旅」の誕生―松川二郎にみる昭和初期の「民謡」表象;「国民文化」の戦後―宝塚歌劇の「日本民俗舞踊」シリーズにみる民謡と民踊)
3 境界線上のレコード・メディア(「語り」のメディアとしてのレコード―「映画説明」レコードとその周辺;「ソノシート」のひらいた文化―文字メディアと音声メディアのはざまで)
4 「環境の音」の文化(「鉄ちゃん」のサウンドスケープ―「懐かしいSLの音」と「音鉄」のはざまで)
著者等紹介
渡辺裕[ワタナベヒロシ]
1953(昭和28)年、千葉県生まれ、83年、東京大学大学院人文科学研究科博士課程(美学芸術学)単位取得退学、玉川大学助教授、大阪大学助教授などを経て、東京大学大学院人文社会系研究科教授(美学芸術学、文化資源学)。著書『聴衆の誕生―ポスト・モダン時代の音楽文化』(春秋社、サントリー学芸賞、中公文庫)、『日本文化 モダン・ラプソディ』(春秋社、芸術選奨文部科学大臣新人賞)、『歌う国民』(中公新書、芸術選奨文部科学大臣賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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