内容説明
“地球たち(Earths)”は、我々の“地球(the Earth)”なのか?宇宙と私たちをつなぐ視座をもつ系外惑星研究が示唆する地球の一系統にとらわれない生命のすがたとは。
目次
プロローグ 太陽系外の惑星から地球外生命へ
1 天空の科学(人はなぜ「あの世の科学」に魅せられるのか;ブラックホール、ダークマター、ビッグバン宇宙―すでに確定;ヒッグス粒子、重力波―予測され、準備されていた発見 ほか)
2 私につながる科学(日本人に身近な地震、火山噴火;プレートテクトニクス―地球科学における革命;気候変動と地球温暖化―政治との距離感をどうとるか ほか)
3 天空と私が交錯する「ハビタブル天体」(系外惑星の発見へのみちのり;系外惑星発見による太陽系中心主義の終焉;ハビタブル惑星の発見 ほか)
エピローグ
著者等紹介
井田茂[イダシゲル]
東京工業大学・地球生命研究所(ELSI)・副所長・教授。東京生まれ、京都大学物理系卒、東京大学大学院地球物理学専攻修了。専門は惑星形成理論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mft
8
著者とタイトルからもっとがっつり系外惑星の話かと思っていたが、もっと広い話(「天空の科学」=理論物理学と「私につながる科学」=生物学地学など)を最初に丁寧に語ってからそういった話題に。少数の観察例に引っ張られると可能性を見落としがち、ということを心に留めておきたい2020/04/04
toshi
8
前半は様々な科学的なトピックを解説。 後半はタイトルに関連した話題と考察。 非常にわかりやすく書かれており、著者の宗教観など私と似ていてうれしくなってしまう。ただ「自分のような科学者の考え方は一般人には理解できないだろう」と繰り返しているが、普通に理系の人なら科学者じゃなくても理解できると思うんだけど。 最後のまとめも自分は特別なんだけど・・みたいな感じでちょっと。。。。 それにしても、プレートテクトニクスって授業で習った気がするけど、日本の学界は認めていなかったんですね。2020/01/12
gauche
3
生物学など、系外惑星の発見とは直接関連しない分野まで広げた概説書で、その語り口はいつも通り分かりやすい。 面白かったのはプレートテクトニクスの受容について言及があったこと。「プレートテクトニクスの受容と変容」において井尻氏と地団研の問題が詳しく解説されているが、井田先生本人は「自分はその時代を直接経験していない」としているが、「周りの多くの人がそれについて憤っていた」と書かれている。「同時代の人の話を直接聞いた人」の証言を聞けたのは参考になった。2020/05/06
ロックとSF、たまに文学
2
生命像の変容と転換とは、系外惑星が見つかるにつれて、太陽系とは大きく異なる恒星系が発見され、これまでの太陽系中心主義から脱却した宇宙探査が必要な時代になっていることらしい。私が生きてる間に地球外生命体が見つかるといいなあと思います。そして、それはどんな生命体なのかぜひ知りたい。2020/07/19
ペカソ・チャルマンチャイ
2
ちょっと難しいのかなと思ったが、そんなことはなく、分かりやすくて面白い本でした。宇宙本のはずなのだが、広く科学全般について書かれており、これが読み物としてとても優れていて、本題よりも面白いぐらい。それだけに、タイトルがもったいないかなと思う。京都の大学生活のうたかたの夢の時間というのは、森見登美彦や万城目学に通じる部分であり、改めて「京都恐るべし」との認識を強くした。2020/03/02