オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 283,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784393323311
  • NDC分類 169.1
  • Cコード C0014

内容説明

オウムを現出した宗教・哲学・政治思想の流れを精査するとき、我々は近代の内奥にひそむ漆黒の闇に直面して戦慄する。気鋭の宗教学者、渾身の現代宗教論。

目次

第1章 近代における「宗教」の位置(そもそも「宗教」とは何か;キリスト教共同体の成立と崩壊 ほか)
第2章 ロマン主義―闇に潜む「本当のわたし」(ロマン主義とは何か;ロマン主義の宗教論 ほか)
第3章 全体主義―超人とユートピア(全体主義とは何か;カリスマについての諸理論 ほか)
第4章 原理主義―終末への恐怖と欲望(原理主義とは何か;アメリカのキリスト教原理主義 ほか)
第5章 オウム真理教の軌跡(教団の設立まで;初期のオウム教団 ほか)

著者等紹介

大田俊寛[オオタトシヒロ]
1974年生。専攻は宗教学。一橋大学社会学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻宗教学宗教史学専門分野博士課程修了。博士(文学)。現在、埼玉大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

寛生

52
【図書館】秀でている学術書。サリン事件はもとより、オウムに関連したアーカイブとして、何十年と読まれていくだろう。卓越した分析力、洞察力、解釈等を共に備えた宗教学者。注目に値する。広く本書が読まれて議論されること、特に研究機関、大学などで読まれることを願う。只どうしても腑に落ちない感覚が残る。他のオウム関連の5つの書籍、又宗教・社会学者達を批判しているが、それはそれでいいし、アカデミックがもっと楽しくなるための雰囲気づくりとしては多いに歓迎したいことではあるが、それに見合った見解が本書ではなされていない。2014/06/06

安南

48
『現代オカルトの根源:霊性進化論の光と闇 』が素晴らしかったので、こちらも期待して読む。タイトルにオウムを掲げているが、ほぼ現代宗教論。新書で読んだことの繰り返し部分もあるが、そもそも宗教とはなんぞや、というところから掘り下げていて、特に政教分離の流れについては大変勉強になった。オウムがどのような形でメディアに取り上げられていたかを機関誌や教団の出版物のみならず、一般雑誌『ムー』や『トワイライトゾーン』等に掲載されていた記事などから論じた箇所は興味深い。2015/02/05

HANA

42
オウム真理教の前史をロマン主義、全体主義、原理主義に求めているのだが、ロマン主義は神智学、全体主義はナチズム、原理主義はキリスト教原理主義と流れがまとめられており、通俗オカルティズム通史としても読むことが出来る。前二者は先ほど読んだ『現代オカルトの根源』と被ることが多いけれども。ここだけ読むとオウムは通俗オカルティズムの鬼子みたいに思えるが、一番面白かったのはそれを受容する当時の空気を解説した部分。80年代に少年時代を過ごした自分にも、あの浮ついた熱気を持った終末感というのは感じ取っていたような気がする。2013/08/10

ステビア

22
非常に面白かった。オウムは近代の歪みが生み出したものだったのだ。ご一読あれ。2015/01/09

テツ

21
ロマン主義、全体主義、原理主義。様々な角度からオウム真理教というカルト集団を読み解く。オカルトブーム。自らというもののあやふやさに苦しみ、自分の中心に確固とした支えを(おそらく他人から)与えて欲しかった若者たちの姿。まさに狂信。カルトは一日にしてならず。あのこどもじみた暴走した狂気は一朝一夕にして形成されたものではなく、時代や世相がゆっくりと作り出していったという側面も理解出来た。歪みが出来れば亀裂はいつか生まれる。信仰と人間のあり方は本当に面白い。良い本でした。2017/05/17

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/2910036
  • ご注意事項