わたしたちの脳をどうするか―ニューロサイエンスとグローバル資本主義

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  • サイズ B6判/ページ数 201p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784393322239
  • NDC分類 491.371
  • Cコード C0010

内容説明

「脳」は科学的、哲学的、そして政治的存在である―。脳科学の圧倒的な進展がもたらした成果に磨き抜かれた哲学的思考が邂逅する時、心脳問題は、現代社会における政治的課題へと自らを開く―。「サイエンス・ウォーズ以後」を画期する、フランス現代哲学の新潮流。

目次

序論 可塑性と柔軟性―脳を意識するために
第1部 可塑性の活動範囲(決定と自由のあいだ;「三つ」の可塑性 ほか)
第2部 中央権力の危機(「大脳=機械」論の終焉;ニューロン人間と資本主義の精神 ほか)
第3部 「あなたはあなたのシナプスだ」(「シナプス自己」または「原自己」;「ロスト・イン・トランスレーション」―ニューロンから心へ ほか)
結論 生物学的オルター・グローバリズムへ向けて
日本語版インタヴュー わたしたちの可塑性をどうするか

著者等紹介

マラブー,カトリーヌ[マラブー,カトリーヌ][Malabou,Catherine]
1959年生まれ。パリ第10大学助教授。現在フランスで最も注目される哲学者のひとり

桑田光平[クワダコウヘイ]
1974年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科フランス語フランス文学専攻・博士課程。2004/2005年度フランス政府給費留学生として、パリ第4大学文学部博士課程留学中

増田文一朗[マスダブンイチロウ]
1977年生まれ。慶応義塾大学大学院文学研究科フランス文学専攻・博士課程。2003/2004年度フランス政府給費留学生として、パリ第8大学フランス文学科博士課程留学中
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Ecriture

6
脳や神経の研究から、形を維持しつつも変化し、痕跡に縛られぬ存在の飛躍さえ可能な「可塑性」の概念を追求し、それによって新自由主義・ポストフォーディズム・グローバル資本主義が要求する柔軟性と対決する。非テロリズム的「爆発」の具体例が「怒り」しか出ないところに主張を具体的に支える論拠の乏しさが見え、テロリズムとアメリカのヘゲモニーこそが唯一のグローバル資本主義の形であるとみなしているところも、トランプ時代にはそぐわない。しかし、可塑性と柔軟性からグローバリズムや労働体系を見直す議論には今でも十分な価値がある。2017/02/23

渡邊利道

5
ニューロサイエンスの知見とグローバル資本主義がイデオロギー的に結託している言説状況を批判し、還元主義を単に否定するわけではなく、その知見そのものにある人文的契機をヘーゲルの「可塑性」に見出し、柔軟な抵抗を模索する。薄いパンフレットのようなわかりやすい本。まあ言うほど簡単な話ではないだろうが、ほとんど楽天的な感じがなかなか良い。2020/08/04

きつね

5
この一文が神懸かってる。「可塑性とは一方で、みずからを生まれながらに自分自身すなわち自分の形に結びつけるものと、他方で、いかなる同一性(アイデンティティ)も空っぽにし、硬直し固定したどんな決定も放棄することをみずからに可能にするものと、個人が結ぶ関係性を示しているのではないだろうか」結論部より。2011/12/27

GASHOW

4
可塑性、プラスティシテということ。脳は変化をし続ける。2015/10/03

大ふへん者

3
日常的に触れているはずの脳機能(ニューロン)のもつ「可塑性」に対して「柔軟性」が仮面=ネオリベラルのイデオロギーとなって「灯台下暗し」になっている。現代の資本主義とニューロン構造の「奇妙な一致」に関して、マラブーはむしろ「自然な一致」と表現する。本書によって哲学の新たな地平が開かれたのではないか。2014/04/15

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