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- > 日本の哲学・思想一般(事典・概論)
出版社内容情報
重要な古典等の文献から、諸時代に通じる特徴的なものを取り出し、日本人の思惟方法を詳説する。
内容説明
日本人とは何か。数々の古典や仏典、風俗・習慣、諸外国の類似現象をふまえ、私たちの精神の核に鋭く迫る。
目次
第1章 序
第2章 与えられた現実の容認(現象界における絶対者の把捉;現世主義;人間の自然の性情の容認 ほか)
第3章 人間結合組織を重視する傾向(人間関係の重視;個人に対する人間関係の優越;有限なる人間結合組織の絶対視 ほか)
第4章 非合理主義的傾向(非論理的傾向;論理的斉合性ある思惟能力の欠如;論理学の未発達 ほか)
第5章 シャーマニズムの問題
結語
著者等紹介
中村元[ナカムラハジメ]
1912年島根県松江市に生まれる。1936年東京大学文学部印度哲学科卒。1943年文学博士。1954年東京大学教授。1970年財団法人東方研究会設立。1973年東方学院設立、学院長に就任。東京大学名誉教授。1977年文化勲章受賞。1984年勲一等瑞宝章受賞。1999年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
5
教義を作らず、悟りで得た慈悲と般若の境地を柔軟に語った釈尊の言葉がインドを出てアジアで変遷してきた仏教を研究する著者は、その変遷に言語と風土が関わる点に着目する。各地域の「思惟方法」を文法、論理、修辞の言語面から考察する著者は、日本の仏教受容を仏教の「退化」とすら言う。戦後での国粋主義の反省をモチーフとした本書は、奈良期、鎌倉仏教、江戸期の朱子学と国学、明治期から、現人神を頂点とした上下関係的構造を持つ日本語に仏教語を翻訳する場面を検討し、個的な論理より集団の説得術(修辞)に重きを置くその傾向を抽出する。2021/04/18
くれは
1
本書の論旨を一言でいうと「良くも悪くも日本人は目の前の現実を重視する傾向にある」といったところ。日本人はありのままの自然や人間の感情を否定せず、来世より現世に価値を認め、神よりも人に対しての罪の意識が高く、実用を最も重んじてきた。しかし一方、事象を一般化・抽象化して論理的に思考するの苦手であり、普遍的な道徳よりも身近な人間関係を重視し、正義に従うよりも主君に従うことを良しとし、法に帰依するよりも宗派の祖師に帰依してしまう。それが日本の文化なんだから仕方ないけど、その良し悪しを常に自覚することが大事だろう。2013/04/03