出版社内容情報
ブッダが入滅にいたるまでの過程を、長年の原典邦訳の成果にもとづいて詳述。さらに入滅後におこったブッダ神格化の問題を検討する。
内容説明
「ブッダ最後の旅」とは。故郷を目指し遊行の旅に出たブッダが出会ったものとは。涅槃への道程を描く、感動の完結編。
目次
第２編 最後の旅（故郷をめざして；旅に病む；大いなる死）
第３編 人間ゴータマの神格化（人間として尊敬されたゴータマ；神格化への踏みだし）
著者等紹介
中村元［ナカムラハジメ］
１９１２年島根県松江市に生まれる。１９３６年東京大学文学部印度哲学科卒。１９４３年文学博士。１９５４年東京大学教授。１９７０年財団法人東方研究会設立。１９７３年東方学院設立、学院長に就任。東京大学名誉教授。１９７７年文化勲章受章。１９８４年勲一等瑞宝章受章。１９９９年逝去（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りー
11
全３巻の最終巻。パーリー語の｢大パリニッバーナ経｣を主に辿るゴータマ最後の旅。自分の死期を知り、王舎城=ラージャガハを出て故郷を目指し、途中のクシナーガルで亡くなるまで。おそらく80歳くらい。｢アーナンダよ、私は疲れた。私は横になりたい。｣生身の言葉が沢山出てくる。思い出深きヴェーサーリーの地を眺め｢ヴェーサーリーは楽しい。(中略)世界は美しいもので、人間の命は甘美なものだ。｣と言う場面がある。全ては移ろうと教えたゴータマが、死を前にしてこの世の美しさ豊かさにしみじみ心打たれるのだ。人間=ゴータマの魅力。2020/02/08
じゃくお
2
後世の仏教徒によって釈尊は神格化され、経典も神秘的に描写されるようになった。中国では儒教が支配的であったため、仏教経典が中国化されていることにも注意が必要のようですね。上中下巻を通して読むと、少し自身の仏教観にも変化が起きたかもしれない。立脚地とするのは帰依の心であるけれども、事実を正しく観ることは信仰において大切なことだと感じます。それが無ければ盲信になってしまいますから。2021/08/05
