内容説明
伝来より現代まで、都市化・人口増加を起因とし、激変していくスリランカにおいて、上座仏教(テーラワーダ)はいかに変貌を遂げたのか。その推移を社会史的視点から考察する。
目次
第1章 序論
第2章 ゴータマ・ブッダをめぐる問題状況
第3章 ブッダの教法
第4章 僧団の修行
第5章 古代インドにおける仏教と社会の調和
第6章 スリランカにおける仏教の伝統
第7章 改革仏教
第8章 最近の動向と新たな問題
著者等紹介
森祖道[モリソドウ]
1934年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程(印度哲学)修了。スリランカ・英国留学。文学博士。東方学術賞・パーリ学仏教文化学会特別賞受賞。愛知学院大学文学部前教授、東洋大学・大正大学講師、パーリ文献協会(英国)日本代表
山川一成[ヤマカワカズシゲ]
1937年三重県生まれ。上智大学外国語学部英語科卒業。三重県立高校の英語教諭を定年退職後、愛知学院大学大学院文学研究科修士課程(仏教学)修了。パーリ学仏教文化学会会員
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感想・レビュー
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吉倉槇一
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ヴィパッサナー瞑想が注目され、スリランカ出身のスマナサーラ長老が人気を博すなど、日本でも「原始仏教」が持て囃されるようになった。だが、ブッダ在世時の仏教と今日の「原始仏教」はやはり同一のものではない。本書は、仏教学界の権威がその二千五百年に及ぶミッシング・リンクを解き明かしている上座部仏教の通史である。とりわけ興味深いのは、近代においてその教えが質的な変貌を遂げていく過程である。現代の「原始仏教」もまた、植民地主義に対する政治闘争の間から生まれ出てきたプロテスタント=改革仏教なのであった。1988年刊。2013/01/06