出版社内容情報
本巻は、大乗仏教の教義として説かれる実践思想が、現実の歴史的場における実践・信仰とどう関係するかに焦点を当てる。
内容説明
大乗仏教の戒律や禅定などの実践的教義が、実際の歴史的な場においてどのように信仰・実践されてきたかという観点から、大乗仏教の実践思想としての本質に迫る。
目次
第1章 大乗仏教の実践
第2章 戒律と教団
第3章 信仰と儀式
第4章 大乗仏教の禅定実践
第5章 仏塔から仏像へ
第6章 菩薩と菩薩信仰
第7章 大乗戒―インドから中国へ
第8章 中国禅思想の展開―「平常無事」と「悟」
著者等紹介
末木文美士[スエキフミヒコ]
1949年、山梨県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。博士(文学)。東京大学文学部教授を経て、国際日本文化研究センター教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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bapaksejahtera
9
本シリーズは80年代刊行「講座大乗仏教」の改定版である。同講座では教理面が専ら追究されたが、本巻で新たに実践面に紙幅を割いた。恐らくはこの間大乗思想の興隆を巡る、古代インド僧伽や在家に関する研究が大きく動いた事が関係すると愚考する。本書でも僅かに触れるが、「実践」であれば教理と共に信仰の具体形である各宗派学問である宗学に大きく踏み出さざるを得ず、微妙な宗派間のあれこれや今日強力な在家仏教団体との政治問題等々、面倒な事の多々は想像できる。本書はその中で観仏や舎利信仰、仏像の誕生等、興味深い記述に満ちている。2022/03/24
RKG
1
仏教学をがっつり勉強していないとわからん部分が多い。せっかくのシリーズ本なんだから、もう少し書学者向けに作って欲しかった。2016/06/09
マウンテンゴリラ
1
大乗仏教を理解しようとする者に対して、教学を中心に語られるのがこれまでのならいであり、現在においてもそうであろうが、本巻では、その実践方法に焦点をあて、その重要性について説かれている。インドにおける初期大乗仏教の成立から、中国における浄土教や禅宗へ展開、それらをベースとして、日本における鎌倉仏教への発展などが、必ずしも直線的な経過を辿ったものではなく、宗派間の対立、それも、教義的なもの以上に実践的な対立、や歴史的な見直し等の紆余曲折を経て得られたものであるということが、漠然とではあるが理解できた。2014/09/04