内容説明
犯罪収益の資金洗浄を取り締まるマネー・ロンダリング対策室。捜査対象だった仮想通貨取引所のCEOに、脅迫状が届く。自作自演か、それとも―。警察を嘲笑うかのようにネット上を自在に飛び回る犯人に、刑事たちは頭脳戦を仕掛けるが…。
著者等紹介
笹本稜平[ササモトリョウヘイ]
1951年千葉県生まれ。立教大学卒。出版社勤務を経て、2001年『時の渚』で第一八回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『太平洋の薔薇』で第六回大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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なっく
29
仮想通貨を取り巻くサイバーな世界と、立てこもりや殺人といった現実の世界の犯罪をうまく組み合わせて、警察内のそれぞれの犯罪を担当する組織同士の反目と連携を描いている。その着眼点は素晴らしく、大いに楽しめたが、ちょっと素材が大きすぎて発散してしまったのが残念。サイバーセキュリティを生業とする自分としてはサイバー犯罪側にもっと寄せてほしかったけれど、話としては面白くないかも(笑)。これからスマホ決済が当たり前になって、リアルな通貨はどんどんなくなっていくだろうから、サイバー犯罪が増えないように望むばかりだ。2019/02/17
reo
27
マネーロンダリングといえば、スイス銀行の匿名預金やパナマ文書とかで問題になったタックスヘイブンへの資金移動など、麻薬シンジケートや政治家の隠し預金の洗浄だったように思う。ところが今や仮想通貨を介したマネーロンダリングの時代なのだ。追い詰めるべき相手は人というより巨大なデーターの怪物。あるいはネットワーク上を自在に行き交う透明人間ともいえる。そこで警視庁に組織されたのがマネー・ロンダリング対策室。残り30ページになっても解決策は見えて来ず、読んでいる僕も登場人物も疑心暗鬼に陥り最後まで目が離せない。面白い!2018/12/05
aocchi
23
マネロンから仮想通貨に発展し、警察内部の課を跨ぐ合同捜査チームを結成する。そんなありえない設定だったが警察がボーダーレスになればかなり心強い味方になるような気持ちにさせてくれた。ここまででも結構大きな話になっているのに最後にはFBIやCIAが出てくる大風呂敷。何ともとらえどころのない話に少し辟易してきた。途中の推理の部分もご都合主義的な話の展開にソレはないでしょ!と突っ込みたくなる所も満載。最後は強引な幕引きにまあ、そんなもんだろうなと、諦めムードだった。以前の笹本先生の作品が懐かしい。2020/09/03
かおりん
21
ビットコインやマネーロンダリング、ブラックマネーなど難しい話が続く。FBIまでからんでくる。村松CEOの拉致監禁、自宅放火があり、その目的は?会社での人間関係は村松の話したことと異なることを他の人から聞く。村松も役員の谷本もあやしい。マネロン対策室の面々が解決しようと奔走するが、最後まで話が見えない。仮想通貨から裏取引まで話が広がり、現実味なかったけど、今後もっとすごい事件が実際に起こるかもと思えた。2019/06/12
たぬき君
13
仮想通貨取引所を舞台にした犯罪の真相を追う物語。容疑者も次々と亡くなり展開を追うのに手こずり、最後に話は繋がったが少々読みずらかったという印象です。2019/02/27