出版社内容情報
医学部でいちばん偉いのは、何科の教授だと思うかね?超エリート大学病院を舞台に、医師たちの序列と差別、傲慢と卑屈だけを描いた抱腹絶倒、本音の医療小説!
内容説明
国立大学病院の最高峰、天都大学医学部付属病院。その病院長・宇津々覚が謎の死を遂げる。「死因は不整脈による突然死」という公式発表の裏では自殺説、事故説、さらに謀殺説がささやかれていた。新しい病院長を選ぶべく院長選挙が近く病院内で開かれる。候補者は4人の副院長たち。「臓器のヒエラルキー」を口にして憚らない心臓至上主義の循環器内科教授・徳富恭一。手術の腕は天才的だが極端な内科嫌いの消化器外科教授・大小路篤郎。白内障患者を盛大に集め手術し病院の収益の4割を上げる眼科教授・百目鬼洋右。古い体制の改革を訴え言いにくいこともバンバン発言する若き整形外科教授・鴨下徹。4人の副院長の中で院長の座に就くのは誰か?まさに選挙運動の真っ盛り、宇津々院長の死に疑問を持った警察が動き出した…。
著者等紹介
久坂部羊[クサカベヨウ]
1955年大阪府生まれ。大阪大学医学部卒業。作家・医師。2003年、小説『廃用身』(小社)でデビュー。『破裂』『無痛』がベストセラーになり、15年ともにドラマ化される。14年『悪医』で日本医療小説大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
499
登場人物の多さに恐れをなして、いったん開いた本を閉じて永久に封印するところだった。これはナンだ、内部から組織を面白おかしく告発したものか。尊敬を集める「ドクター」という職種の中でも、ヒエラルキーが存在することは薄々感じていた。勤務医でも専門によって大きく年収に違いがある(アメリカの場合)ことも。ひとつ学んだのは、医術に「完璧はない」ということ。手術は成功して当たり前じゃない。老化は防げない。ダメなものはダメ。わたし自身、膝の手術でうっすら感じていたことだ。当たり前のことを当たり前に気づかせてくれた作品。2021/12/28
W-G
498
笑える本を読みたい気分になって購入。久坂部氏とは思えないくだけっぷりにガッカリする人もいそうだが、私はちょうどこういうのを求めていたので楽しく読めた。もうスラップスティックコメディの領域なので、そのつもりで読まなければいけない。自分の担当する臓器を持ち上げたり、それが原因で卑屈になったり、だいぶ戯画化された医師のオンパレード。鴨山と百目鬼の結婚式でのやり合い(眼球ガールズ笑)や、泌尿器科の医師の「何なら尿で顔を洗ってもいいくらいです」発言とか笑えた。あくまで、しょうもなさを愛でる作品。 2017/10/14
ナイスネイチャ
202
図書館本。病院長が急死し、四人の副院長が院長になるべく争奪戦を行う。内科、外科、整形外科、眼科とそれぞれ自分の科が優れていると自負し、他の科を糞味噌に貶しまくる。軽快でテレビドラマ観ている様な作品。現役医師?が描いてるのでちょっと恐い部分がありましたが、面白かったです。2017/12/17
のり
194
大病院の院長が謎の突然死。病死と診断されたが…それにともない院長選挙が行われる事に。4人の副院長が候補となるが…医療崩壊をテーマに「吉沢アスカ」は取材を始める。腕は良いが、人格が歪み過ぎている4人。どの人がなろうと病院にとっては如何なものか。内科・外科の大枠に留まらず、科によってヒエラルキーがあるとは。医学部長。悩みも大変なものだと同情したが…大きな病院になるほど患者は物扱いなのか?立派な医者もたくさんいるだろうが、私欲に取りつかれる人も多くいるだろう。2018/02/10
いつでも母さん
154
ずーっと勝手に想像はしていました。医者同士の胸の内を。どの科も患者には絶対必要なのだけれど、『脳』とか『心臓』とか・・やはり素人には魔界のような世界なのですね。面白おかしく読んではみたけれど、ここの副院長等の言葉は半ば本音なのだろうなぁ。なんて感じました。『白い巨塔』の現代版を地で行った感じでしょうか?患者にしてみたら、内輪の揉め事は勝手にどうぞ!診察・治療だけはしっかりお願いしますよ!って言う事で。2017/09/16