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うつくしい人

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  • サイズ B6判/ページ数 226p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784344016347
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

内容説明

他人の苛立ちに怯え、細心の注意を払いながら重ねていた日々を自らぶちこわしにした百合。会社を辞め、「ただの旅行」で訪れた島のリゾートホテルのバーにいたのは、冴えないがゆえに百合を安心させるバーテンダー坂崎と、暇を持て余す金髪のドイツ人、マティアスだった。美しい瀬戸内海の離島、そこしかないホテルで不思議に近づく三人の距離。地下には、宿泊客が置いていく様々な本が収められた図書室がある。本に挟まっていたという一枚の写真を探すため、ある夜、三人は図書室の本をかたっぱしから開き始める―。会社を逃げ出した女、丁寧な日本語を話す美しい外国人、冴えないバーテンダー。非日常な離島のリゾートホテルで出会った三人を動かす、圧倒的な日常の奇跡。

著者等紹介

西加奈子[ニシカナコ]
1977年テヘラン生まれ。カイロ、大阪で育つ。関西大学法学部卒業後、2004年『あおい』でデビュー。05年、二作目の長編『さくら』が25万部を超えるベストセラーになる。07年『通天閣』で織田作之助賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Aya Murakami

118
SKE48文庫 他人からの評価が気になってしかたない主人公。引きこもりの姉を嫌っている描写があったのですがかなり早い段階で姉にあこがれも抱いているのかも?と勘繰りましたがビンゴでした。ひきこもりながらも自分というものを持っているうつくしい人の姉と自分を捨て去って思春期に入るといじめに虚栄心三昧のみにくい人である主人公。ラストで主人公は「姉になりたい」と思うようになるのですが、現実は自分は自分にしかなれないわけです。そんな当たり前のことに気づくのはいつのことになるのでしょうか?2020/06/09

昂 ふたたび

110
「いつも、これで合っているのか?間違っていないか?誰かに答えを聞かないと不安になる。」私も、痛いほど分かる。自分に自信がない。だから、人の目が気になってしまう。常に満タン状態です。私だけじゃないと少し癒されました。百合さんが誰かのうつくしい人になれますように。2015/09/03

七色一味

107
読破。なんと言うか──、重苦しくて逃げ出してしまいたい──、病的なまでの圧迫感が、最初の数行からも伝わってきて、それ以降、どのページを読んでも圧迫感と閉塞感に追い立てられるような──。それでいて読み手を惹きつけて離さない──。そんな作品。自分のこと、姉のこと、元上司のこと、バレエシューズのこと──ほんの些細なことの全てが、剥き出しの神経を触るようにクローズアップされて胸に迫る。2013/02/07

83
毎日毎日他人の目に晒されて、間違ったらいけない、誰もが羨むような日々を送らなくてはと、どんどん心が重たくなっていく。あったようでなかったような自分、らしきものが歪みバランスが取れなくなる。いい歳して中二病かと言われればそれまでだけれども、今の私も似たようなもの。彼女の心情を辿ることが苦しくて仕方無かった。何もかもが、重いのだ。欲しいものも欲しくないものも、大切なものもそうでないものも必死にかき抱いてるのだから。彼女と一緒に、私も何かを置ける気がした。ずっと、許してもらいたかった。自分を見つめる、自分から。2013/01/24

優希

79
スッと心に入ってきました。最初はプライドの高そうなヒロインが好きになれなかったのですが、旅先で坂崎さんとマティアスさんという2人の男性に出会ってから印象が変わっていきました。あんなに猜疑心が強く、人の目を気にし、小馬鹿にするような態度だったのにどんどん自分の心に素直になっていくのが好ましかったです。かといって共感できるかと言われるとそうではなくて。でも物語の世界が心地よく浸れる感じでした。流れる時間が皆の心を解放していくのでしょうか。最後の「みんなうつくしい人」の一言は救いでした。2014/08/30

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