出版社内容情報
第二次世界大戦期のアメリカ・ハワイ。日系二世の少年マレスケは、よろず屋を営む祖父の元で貧しくも平和に暮らしていた。だが、1941年12月、日本軍による真珠湾攻撃を境に環境は激変してしまう……。
森川成美[モリカワシゲミ]
著・文・その他
内容説明
敵か味方か―。戦争はどっちかにつかなきゃならない。もちろんぼくは、アメリカの側に立っているつもりだ。だけどふしぎなことに、あっちがつかせてくれない。日本はぼくらを裏切り、アメリカはぼくらを疑っている。1941年12月、ハワイ―ぼくらは、ぼくらの国の「敵」になった。
著者等紹介
森川成美[モリカワシゲミ]
大分県出身。第18回小川未明文学賞優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
92
YA。大人にも。1941年真珠湾攻撃、ハワイに住む日系人の話▽小西希典(こにしまれすけ)はハワイに住む日系二世の少年。祖父と祖母は二歳の父を連れて熊本からハワイに移住した。母親は写真見合いでハワイに来た。祖母と父が流行病で死に母は日本に帰り、マレスケは兄と姉、祖父と4人で暮らしている。祖父は「大和魂を忘れるな」と言うが、マレスケは自分はアメリカ人だと思っている。将来に悩み本土への進学を進められていたが、日本との戦争が始まる。兄は志願して戦争へ行った▽ノーレイン、ノーレインボー▽読みやすく心に響く、良本2022/08/08
ゆみねこ
66
1941年12月、ハワイに住む日系二世のマレスケの日常は激変した。日本人の祖先を持つ、彼らの葛藤を、児童書なので分かりやすく描いている。森川成美さん、初読み。 2018/12/14
はる
60
第二次世界大戦期のアメリカ・ハワイ。日系二世の少年マレスケの物語。戦争によって、それまで貧しいながらも幸せに暮らしていたマレスケの生活は一変してしまう…。日本とアメリカの間で葛藤する日系人たち。物語は自分が何者なのか、あやふやな立場に悩む少年の心の揺れを中心に描いています。手法としては正攻法の児童文学ですが、やはり戦争を舞台にしているだけにより一層重いテーマになっています。母親との問題が中途半端のまま終わってしまったのが残念。2019/01/07
しゃが
59
日系二世の少年マレスケの家族は、ハワイで祖父が移民となりやっと貧しいが平和に暮らしていた。が、真珠湾攻撃を境に変わった。国籍を持ちながらも「敵」となり、祖父は疑われ、兄ヒロは理不尽なもやもやのために志願した。ヒロの最期の手紙が切なく胸を締め付けた。「No Rain, No Rainbow !」と雨が降らなければ虹はでない、どんなことでも値打ちはあるとの言い伝えらしいが、両国の壁を壊そうとしたヒロの行動が雨だったら、マレは虹が出るような関係を築きたいと思う。『ある晴れた夏の朝』と共にYAたちに読んでほしい。2018/12/19
horihori【レビューがたまって追っつかない】
38
第二次世界大戦期のアメリカ・ハワイを舞台に、少年が生きた“戦争"描く。日系二世の少年マレスケは、よろず屋を営む祖父の元で貧しくも平和に暮らしていた。だが、1941年12月、日本軍が真珠湾を攻撃し、戦争が始まる。日系1世の祖父はスパイ容疑で捕まり、大好きな兄は米国人であることを証明するため志願兵となる。日本から裏切られ、アメリカから疑われ、アメリカ人としての矜持と日本人の魂の間で、板挟みになり翻弄されるマレスケ。ノルマンディーで戦死した兄の遺書が胸を打つ。子どもに国外にいる日本人の戦争も知ってほしいと思った2021/09/23