出版社内容情報
紗矢は転校生の亜麻里と仲良くなるが、紗矢は母の思いに応えて受験勉強に追われ、亜麻里は学者の母の主義で、大人扱いで自由に過ごしていた。だが、ともに母の価値観や主義・信条にしばられていることに気づく。秘密の手紙と亜麻里の父親捜し、推薦入学のデマなどを経て、ふたりはそれぞれに行動を起こし、親の支配を乗りこえていく。子ども読者はもちろん、親子で読んで欲しい一冊
内容説明
「子どもは親を選べない。だけど…」ふたごみたいにそっくり、といわれたことから、紗矢は転校生の亜麻里と仲よくなる。二人の暮らしぶりは正反対だったが、ともに母親の主義や価値観にしばられていると気づく。亜麻里の父親さがしや、推薦入学のうわさとデマなどを経て、二人はそれぞれに行動を起こし、親を乗り越えて自分の道へ歩みだしていく。
著者等紹介
森川成美[モリカワシゲミ]
大分県出身。東京大学法学部卒業。『マレスケの虹』(小峰書店)で第43回日本児童文芸家協会賞、「アオダイショウの日々」で第18回小川未明文学賞優秀賞受賞。「季節風」同人
森川泉[モリカワイズミ]
会社員を経てフリーのイラストレーターに。おもな挿絵の作品に『夏の猫』『トップ・ラン』(国土社)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
65
児童書。YA。小学6年の6月に転校してきた子は「ふたごみたいに」そっくりな子▽山本紗矢(さや)は自分に似た子が隣のクラスに転校してきたと聞いて見に行く。波潟亜麻里(なみがたあまり)は、実際にはそっくりでもなく性格も得意なことも違っていた。紗矢は中学受験の期待を掛けてくる母親を圧に感じつつ従うのが楽だと考えていた。亜麻里は変わり者の母親のせいで友達ができないのを寂しく思っていた。似ているのに違っているふたりは気が合い友達になるけれど▽親子関係「あなたは弓、あなたの子は未来に向かって放たれる矢」(ジブラーン)2023/12/03
まぁみ
21
読後、私は亜麻里より学がない…と撃沈。自分の置かれた状況をしっかり考えて、その上行動を起こす…ある意味すごく難しいけれど、大切なことでもある。私の小学生時代なんて、日常に流されながら、くだらない事に時間を使う日々だった。まあ時代が違いますが。本書は、六年生の二人の少女が、大人への階段を登る物語。二人の気持ちもそれぞれの母の気持ちも、同級生の気持ちも痛いほどよく分かる。善悪では捉えられない心情が、文章から(行間からも)溢れていました。この特殊だけれどリアルな世界を、多くの人に堪能して欲しい。ジブラーン最高!2024/03/02
7a
8
小学校高学年向けと思われるけど侮れない。かつて子供だった立場でも今母親の立場でも感じるところがある。親は経験上こうしたら失敗するから、と先回りして子供の方向を定めがち。ある年齢まではそれで良いのかもしれないけど、子供は一つの確立した存在で意志を持って、自分の人生を自分で選べることを忘れちゃいけない。親から見たらちょっと前までほっといたら死んでしまうような生き物だったんだものね。けど子供の世界の広げ方は大人の想像以上に急速。良い意味でも悪い意味でも。その速度を理解できなくても尊重してあげないと、と思った。2024/03/15
頼ちゃん
5
紗矢と亜麻里の関係がいいな。お互いがいれば親に反発しても悪い方向にいかず、いい方向にいってくれると思える。親のことは自分の反省もは含めて考えてしまった。2022/05/03
ねこのあくび
4
サクッと読めて、読後感良い。 小学校高学年で読むと、自分のことのように感じたり考えたりできる子もたくさんいるかもしれないな、と思います。お母さんを悪者にしなかったのは救いだし、もしかしたらお母さんが読むのも良いんじゃないかな、と思う。人は誰でも可能性持っていると、自分の意思で決めて歩いていけると、物語でたくさんのひとに理解を広めているのをみるにつけ最近ほんといいなと思う。2022/06/06