内容説明
袋小路の日本社会、機能不全の「日本型福祉社会」。福祉社会を阻むものは、なにか?福祉国家を基礎にすえた福祉社会という新しいシステムが求められている。いかにして新たな社会は、実現できるか。
目次
第1章 時代閉塞の現状
第2章 社会学的想像力
第3章 「古き良き時代」の生活保障
第4章 新しい時代の模索
第5章 国民負担率を抑制すると国民の負担が増える
第6章 真に必要な者に限ると真に必要な者に届かない
第7章 逆進的な付加価値税の方が平等化を進める
第8章 福祉社会のユニバーサルデザイン
著者等紹介
武川正吾[タケガワショウゴ]
東京大学大学院人文社会系研究科教授。1955年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専攻は、福祉社会学・社会政策研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バーニング
2
社会保障費抑制という長いトレンドの中で普遍主義的な政策の提案が難しい時代だが、世論は普遍主義を支持する傾向にあることや、消費税のような逆進的な税制もうまく使えば安定的な給付を保障できる事(北欧モデル)などを理論と実証、他国からの参照という形で提案している。また、国民負担率という概念がいかに適切でないかも先行研究を引きながら述べられており、ツイッターで頻繁に国民負担率に言及する明石市長は本書を読むべきだと言えるだろう。2023/04/23
まあい
2
福祉政策を考える上での必読書。近年は選別主義的な福祉政策が主流となりつつあるが、様々な観点から人々の負担などを考えていくと、普遍主義的な福祉政策を拡大する方がむしろ望ましいということが分かる。「福祉社会のユニバーサル・デザイン」というフレーズが印象的。2016/01/18
t80935
0
社会学には炭坑のカナリア、ミネルヴァの梟という2つの役割がある。「社会学的想像力は、熟知した、判で押したようなみずからの毎日の生活を新たな目で見直すために、そうした毎日の生活の当たり前のことがらから『離脱して、自分自身について考える』ことを、何にもまして私たちに要求する。」「三つのパラドクス:国民負担率を抑制すると国民の負担が増える。社会保障や社会サービスの給付を、真に必要な者に限ると、真に必要な者へ給付が届かなくなる。逆心的な付加価値税の方が平等化を進める」2014/12/02