内容説明
港の宿屋「ベンボウ提督亭」を手助けしていたジム少年は、泊まり客の老水夫から宝の地図を手に入れる。大地主のトリローニ、医者のリヴジーたちとともに、宝の眠る島への航海へ出発するジム。だが、船のコックとして乗り込んだジョン・シルヴァーは、悪名高き海賊だった…。
著者等紹介
スティーヴンスン,ロバート・ルイス[スティーヴンスン,ロバートルイス][Stevenson,Robert Louis]
1850‐1894。イギリスの詩人・小説家・随筆家。エディンバラに生まれ、病弱の身ながら、ヨーロッパ、アメリカ西部、南太平洋の島々を渡り歩き、サモア諸島で没
村上博基[ムラカミヒロキ]
1936年生まれ。東京外国語大学独語科卒。英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
117
有名な作品だけど、実は今まで未読だった本に挑戦。海賊が隠した宝を探して危機をやり過ごしながら旅をするなんてワクワクするしかないじゃない!しかし、本は読む時期が違っていたら感慨以外にも登場人物への好みも大分、変わってくるなとしみじみと感じました。多分、子供の頃に読んでいたら規律第一なスモレット船長に憧れを抱いただろう。でも今はジョン・シルヴァーが魅力的に思えてくるから不思議(笑)結構、冷徹なんだけど、ちゃっかりした所があるのと、感嘆した相手には敬意を惜しまない事、奥さんを大事にしている所がツボでした。2019/06/03
優希
112
言わずと知れた名作。おそらく読むのははじめてです。宝の地図に航海、冒険とワクワクしました。少年ジムが活躍するのはスカッとします。味方になったり裏切りがあったりなど、どうなってしまうのかドキドキさせられました。コックとして乗り込んだシルヴァーが悪名高い海賊なのに人間味があったりして魅力的です。最後まで謎を謎のままにしていたりするのがまた楽しいです。童心に返って楽しみました。面白かったです。2016/05/24
セウテス
62
〔再読〕現在敢えて言えば、ワンピースを思い浮かべる。宝の地図を手に入れた主人公ジムは、大地主で銃の名手トリローニ、ひたすら忠実軍人気質のスモレット、実直な海の船老レッドルース爺さん、都会的な紳士リヴジー医師など、個性的な仲間と船出する。キャラクターの個性が面白い、際立っている事も作品の特徴です。特にコックで乗り込んだシルヴァーの、実は悪役であり海賊であるという演出は印象深い。そういえばワンピースのコックも、隠された背景があった。ジョジョの冒険「ドルチ」も、本作の影響を受けている様に、冒険物語の原点だろう。2018/05/04
財布にジャック
54
宝島と聞いただけでワクワクするんですが、子供の頃読んで以来なので内容すっかり忘れていた自分にショックでした。新鮮な気持ちで読めてかえって良かったのかもしれませんが。それにしても、いきなり謎の男、そして宝の地図、極め付けに海賊シルヴァー、もうツボすぎてクラクラしました。主人公のジム少年が、大活躍で、少年少女が読んだらあこがれること間違いなしです。しかし、海賊好きな私は不覚にもシルヴァーにあこがれてしまいました!シルヴァーのその後が気になる~2010/07/15
ころこ
49
近代性を示す二つの要素、科学と小説は共に資本主義のように剰余を生む。科学は未知の領域へ、それが分かるとその知識が更なる未知へ、外部に対する知的な好奇心を生むことに際限が無い。小説の語りは更なる語りを生み、物語は尽きることが無い。ジオグラフィックに探索する科学と小説との両者の剰余として「金」を求める本作は、近代性を示す普遍性を持っているのではないか。子供の読み物の中に、大人の隠された欲望が、それも集合的で根源的な欲望が隠れていて、実はそれを探索し見つける。これがスティーヴンスンから与えられた地図の謎なのだ。2021/09/27