内容説明
本巻では、認知言語学の研究パラダイムを背景にした言語習得の研究を、用法基盤モデルの観点から解説する。特に、構文の習得過程に焦点をおき、一語発話、二語発話、ゲシュタルト構文、動詞島現象、スキーマ化のプロセス、構文交替現象、構文の拡張と創造的言語使用など、言語習得にかかわる主要テーマを取り上げ、これらの言語習得の問題を体系的に解説する。これまでの生成文法中心の言語習得観とは異なった、新たな方向を探求していく。
目次
第1章 認知言語学と言語習得
第2章 初期言語発達
第3章 構文文法と言語習得
第4章 用法基盤モデルと構文の習得
第5章 言語進化への認知言語学的展望
第6章 総括と一般的展望
著者等紹介
山梨正明[ヤマナシマサアキ]
1948年、静岡県生まれ。1975年ミシガン大学大学院博士課程修了。Ph.D.(言語学)。現在、京都大学大学院人間・環境学研究科(言語科学講座)教授
児玉一宏[コダマカズヒロ]
1964年、大阪府生まれ。2000年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。Ph.D.。現在、京都教育大学教育学部准教授
野澤元[ノザワハジメ]
1973年、兵庫県生まれ。2005年京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。Ph.D.。現在、京都教育大学、京都外国語大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メタファル
0
言語習得という分野を認知言語学的アプローチでやるとどうなるか。構文理論、用法基盤モデル、ゲシュタルト、などを駆使して、今までの生成文法のアプローチの言語習得論に打ち勝とうとする試み。やはり「言語進化」とか「進化論」的視点をいれなければならないとするなら、認知言語学強いんだろう~。やはり、新しい分野だけになんか楽しみ(って人事。。)あと言語現象が定着するプロセスとして免疫学の知見を取り入れていたみたいだけど、あれは単なるメタファーにすぎないよなあ、と想ったけれどどうなのでしょう。2010/03/12
こたろう
0
生成文法、用法基盤モデルなどについて、概要がまとめられている本。各モデルの説明が英語なので、日本語についての例が欲しい人は注意が必要。答えが出ていない分野のため、この本が出版された時点での内容となる。参考文献としているのは、更に古く1980年代なども含まれているので、現時点での最新の解釈を求めている場合は、別の文献を参考にしたほうが良さそう。2021/05/19