出版社内容情報
本書の第一部は、三世紀半における日本経済思想史の通観である。ここには、日本経済思想史における言わば定番の人物が取り上げられている一方、時代劇でおなじみの「名奉行」や聞いたこともないような起業家も登場する。第二部では、日本の経済思想史は日本の外側からはどのように見られてきたかが明らかにされている。
内容説明
日本に経済学はなかったが経済思想は存在した。一七世紀の初めから二〇世紀中葉に至る三世紀半における日本の経済思想とその歴史を通観。学部学生・一般社会人向けの本邦初のテキスト。
目次
第1部(経済思想史とは;身分制社会の成立;泰平の世の武士;脱市場の経世済民論;将軍権力による脱市場 ほか)
第2部(欧米における日本経済思想史研究;東アジアにおける日本経済思想史研究)
著者等紹介
川口浩[カワグチヒロシ] [Gramlich‐Oka,Bettina]
生年:1951年。現職:早稲田大学政治経済学術院教授
石井寿美世[イシイスミヨ]
生年:1976年。現職:大東文化大学経済学部専任講師
グラムリヒ=オカ,ベティーナ[グラムリヒオカ,ベティーナ]
生年:1966年。現職:上智大学国際教養学部准教授
劉群芸[リュウグンゲイ]
生年:1972。現職:中国北京大学経済学院副教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
116
これは比較的珍しい本であると思います。日本経済史の本ではいくつかあるし、経済思想史も世界のレベルではいくつかありますがそれが日本の江戸時代から昭和の戦前までを俯瞰しているということであまり見かけない資料だと感じました。最後に戦後も若干触れられています。私も以前少しだけ研究したことがあり、熊沢蕃山や荻生徂徠などのほかに海保青陵などについても少しかじりました。この本では結構原点からの引用が多く参考になります。2016/04/03
壱萬弐仟縁
30
思想研究の難しさは、分析対象の思想が摑み所のないところに由来(3頁)。社会に実在する事物は誰かの脳内で創造された観念(7頁)。人と社会と自然が存在するのは、ある特定の時間と空間の交点で。歴史は時空間で生起した諸現象の継起したもの(11頁)。経済思想史:特定の時空間における限定性・固体性を帯びた個々の経済思想と、思想の史的変化の過程を、分析的に理解する学問(14頁)。荻生徂徠は毎日のように豆腐屋から雪花菜(おから)をもらっており、恩を終世忘れなかったという(47頁)。2016/02/22
ヒナコ
10
本書を図書館で偶然見つけて借りてみたら、ぐっと引き込まれて一気読みしてしまった。 荻生徂徠、徳川吉宗や大岡忠相、田沼意次という江戸の経済思想から、田口卯吉、犬養毅、渋沢栄一、中江兆民、徳田福三などの維新後の経済思想まで、日本の近世から近代にかけての経済思想(戦後の経済思想は割愛されているので、そこが知りたい人には参考にならないかも……)が幅広く紹介されていて、大変おもしろかった。→ 2021/08/06
ステビア
8
教科書。たいへんわかりよかった。2016/01/09