出版社内容情報
バップの開拓者にしてそれを超える孤高のジャズピアニスト・作曲家の全貌。生誕100年、その音楽は今なお圧倒的。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジャズクラ本
14
◎とても読み応えのある一冊だった。双極性障害から折々にみられる奇行のこと、バド・パウエルとの対比、マイルスとの喧嘩セッションのことなど、孤高なモンク像が多彩な執筆者によって浮き彫りにされている。誤解を恐れず四捨五入すればジャズ目モダンジャズ科モンク属といったところか。ゴリゴリッと不協和音を伴った変則リズムを奏でる彼が、一方で恐ろしいほどに気障なラウンド ミッドナイトを書いたのは19歳のとき。その才能に感服する他ない。人種差別の観点からモンクの生涯を追った最終章のマニュエル・ヤンの文章がハンパないです。2020/09/20
かふ
14
それぞれがモンクを語ることでそれぞれの自身のジャズを語ってしまうことが不協和音となって問題化するわけで、モンクはリトマス試験紙的な感じだよね。ジャズの保守本流なのか革新勢力なのか。モンクは黒人の民権運動とかは関わらなかったどころか資本家の庇護を受けていた。でもモンクの中に黒人性が確かにありそれで警察に暴力を受けたり仲間の薬中を庇ったり、マニュエル・ヤン「音楽労働者モンクは全体主義にノーを言う」で刑務所にぶち込まれたモンクが黒人暴動の囚人たちに囲まれてせっせと作曲していたという。2017/12/16
Decoy
3
うーん…かなり微妙。昔の文章で、今も読むに堪えるものが、あまりにも少ない。これを読む限りでは、音楽批評は現在の方が水準が上がっているとしか思えない。間章は、現在も読まれているのだろうか? 口を極めて罵っている武満徹の作品は、没後20年以上経っても演奏され続けているが…。志ん朝の語るモンク論が読めたのは、ありがたい。2017/12/13